森の中を必死に逃げている一人の兵士、彼はハンス・グワンゲル(ルイス・ホフマン)。 しかし取り囲まれ一斉射撃をされ倒れてしまう、その直後味方の兵士が現れ敵兵士たちを一掃した。 一歩助けが早かったならば。
フランスがドイツに降伏した1940年6月。 戦勝ムードに沸くベルリンの古めかしいアパートで質素に暮らす労働者階級の夫婦オットー(ブレンダン・グリーソン)とアンナ(エマ・トンプソン)のもとに、一通の封書が届く。 それは最愛の一人息子ハンスが戦死したという残酷な知らせだった。 心のよりどころを失った二人は悲しみのどん底に沈む。 オットーはナチスではなかったが、ぶつけどころのない怒りをアンナはオットーにぶつけるしかなかった。
オッ トーは工場の職工長、ベルリンではナチス一色に染まった町になっていた。 工場にも、ナチの将校が訪れなにか改善の意見があるかを意見を求めに来るが、オットーは生産性を上げるにはもっと機械を増やすべきと遠慮なく言う。 党員でもないのにとオットーに批判が出るが、「息子が国のために戦い命ををささげたことが、何よりの貢献ではないか」 と言い返す。
そんなある日、ペンを握り締めたオットーは 「総統は私の息子を殺した。 あなたの息子も殺されるだろう」 とヒトラーへの怒りのメッセージをポストカードに記すのをアンナは見つける。
見つかったら大変なことになると思ったアンナが咎めるが、オットーはせめてもの抵抗で、字体を変え、筆跡をたどれないように工夫をするし、自分個人でやる仕事であり、アンナは一切かかわらないように言うのみだった。
アンナには夫人同士の活動で、家から出ないで国に貢献していない女性に対して、忠告しナチに協力する活動をしている。 しかし息子を失った彼女には何か虚しく、いたたまれない活動に思えて来ていた。
またアパートの最上階に住むユダヤ人の老婆に対して、略奪と威嚇を目にして、とうとう夫妻がカードでの反抗を始めるのだった。
町のいろんな場所にカードを置く、大概の人は恐ろしくなりそのカードを警察に届けに行く。 はじめはただのいたずらと思っていた警察も、ゲシュタポから強く犯人を見つけるよう圧力が入り、エッシェリヒ警部(ダニエル・ブリュール)は少ない人員の中捜査に乗り出し始めるのだった…
監督はヴァンサン・ペレーズ、日本の東野圭吾の 「秘密」 を映画化しているようですが、日本未公開になっていますね。 主演はエマ・トンプソン、近作は 「美女と野獣」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14886729.html でポット夫人を、また、「ロング・トレイル!」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14375886.html では主人公の妻役をしていました。
そしてもう一人、この犯行を必死に捜査する警部役でダニエル・ブリュール、近作は「僕とカミンスキーの旅」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14924524.html で主役をしていました。
父のオットーは、表情から察すると、ヒトラーのやり方に不満を持っていたようですね。 妻のアンナはそれほどではないにしろ、息子の死からだんだんと反ナチズムに傾倒して夫に協力をしていきます。
戦時中において、軍に服従のみならず、強く協力しないと、非国民扱いになるのは日本でもよく描写がありますが、ドイツでもどうやらそんな傾向があったようですね。また、ユダヤ人に対する、監視、さらに苛め、略奪も。
合計285枚のカードを書き続けたオットーでしたが、そのうちの267枚は回収されました。 しかし18枚は拾ったものの手にとどまったことで、彼が何か満足そうな表情をするラストシーンはなかなか深いものがありましたね。
この作品は強制収容所から生き残ったイタリアの著名作家プリーモ・レーヴィに 「ドイツ国民による反ナチ抵抗運動を描いた最高傑作」 と評され、ドイツ人作家ハンス・ファラダがゲシュタポの記録文書を基に、わずか4週間で書き上げたと言われる「ベルリンに一人死す」 という原作という事です。
原題は「ALONE IN BERLIN 」、たった一人の闘いでした。
息子を失い、オットーはカードに書き始める
アンナも深い悲しみを受ける
そしてオットーはカードを置き始める
そしていつしかアンナも協力し始める
カードが増えて行き、ナチも見過ごせなくなってくる
エッシュリヒは捜査を始めるが
業を煮やしたナチから暴行を受ける
夫が掘っていた息子の像