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未来を乗り換えた男

2018年作品、クリスティアン・ペッツォルト監督、フランツ・ロゴフスキー パウラ・ベーア出演。

現代。 元レジスタンスのゲオルク(フランツ・ロゴフスキ)はファシズムが吹き荒れる祖国ドイツを逃れるために、何とか脱出ルートを手配してもらう。 彼はパリのホテルで、部屋を探しているときに、亡命作家ヴァイデルが自殺をしたことを知る。
仲間から、脱出のために、重症で足を失い、一人では移動できない記者と一緒に行くことをいわれる。 苦痛に苦しむ彼に、モルヒネを持たされ、苦しみ始めると打って、貨物列車に隠れて、パリから港町マルセイユに辿り着く。 しかし、記者は力尽き亡くなってしまう。
間一髪脱出したゲオルクは、ドイツ軍の目を盗んで、記者の妻と息子のところに行く。 息子はサッカーをしようと、なぜゲオルクがきたのかも知らず声を掛けてくる。二人がサッカーをしていると妻が帰ってくる。 そして夫が死んだことを知らせると、妻は泣き崩れ、二人は悲しみにくれる。
そんな時、一人の女性から肩を叩かれる。 人違いがわかると立ち去っていくが、それも数回同じことをされる。 彼女は誰かを必死に探しているのだった。 ここには、多くの人間が、アメリカや南米に行く船に乗ろうと集まってくる。 しかし多くは身分証もない、捕まると拘束され、収容所送りとなってしまう立場だった。
そこで彼は、亡命作家ヴァイデル成りすまし、船でメキシコに向かおうと決める。
そんな時、記者の息子が体調が悪いという知らせを受ける。 何かと面倒を見ていたゲオルクは、医者を探すが、母と息子は不法滞在者なので、病院には行けない。やっと見つけた医者はあの人違いをした女性と一緒に暮していた。 彼女はマリー(パウラ・ベーア)といい、医者は、リヒャエル(ゴーデハート・ギーズ)といい、リヒャエルの治療のおかげで、息子は体調を取り戻す。
リヒャエルはメキシコに行く準備が整っていたが、マリーの事が気がかりで、ためらっていた。 そしてマリーは、実は夫がいて、彼を探しているのだった。 その夫とは?・・・

これはナチスドイツを描いた作品ですが、現代に置き換えられています。
監督はクリスティアン・ペッツォルト、この監督作品はいいですね。 「あの日のように抱きしめて」 「東ベルリンから来た女」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/10368921.html ですが、今作の設定を現代に変えたことは監督のメッセージかもしれませんね。
主演はフランツ・ロゴフスキー、「ハッピーエンド」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15454238.html でピエール役をしていました。
そしてバウラ・ベーア、「婚約者の友人」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15269801.html ではアンナ役をしていました。 恋人を失った悲しくも、そして強い女性役でした。

物語は、ファシズムが復活したドイツに、また侵攻されたフランスのお話です。 レジスタンスもどうやらどんどん鎮圧され、フランスはドイツに席巻されているようです。ゲオルクはドイツ人でありながらファシズムに反抗をしていましたが、彼はパリからマルセイユ、そこまで来てどうしようかと、思い悩んでいるようですね。
アメリカやメキシコに行く船も、だんだん制限されている中、みなが脱出しようと最後の望みをかけて、ここまで最後の力を、お金を使い切ってやってきています。
ゲオルクは、途中で力尽きた記者の家族に、そしてひょんなことから彼が死を知った作家の妻と出会うんですね。
そしてそれぞれの身の振り方に彼がかかわって行きます。

今作は、時代を錯覚するお話です。 ドイツでネオナチが勢力を伸ばしていることを聞いていますが、民族主義、右翼思想が強くなっていくと、やはり一番国力があるドイツが台頭してもおかしくないですね。
ただ、アメリカもそんな流れになっていますし、今作のアメリカは傍観者になっています。 悲劇的なドラマですが、時代を現代にしても何か近未来の作品のような感じが漂っています。

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足をなくした記者と移動してきたゲオルク

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作家の息子と出会う

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そして彼女に誰かに間違われる

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彼女は医者と一緒にいる

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そして二人を脱出させようとする

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