anttiorbの映画、映像の世界

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この世界の片隅に

2016年作品、片渕須直監督、声の出演:のん。

広島市江波の海苔梳きの家に育った少女すず(声:のん)。 絵を描くことが好きな少女だったが、のんびりおっとりした性格で、すぐにいろんなことを忘れてしまう。
すずには兄と妹がいた。 兄の要一は厳しい性格で、彼女は “鬼いちゃん” と呼んでいた。 しかし妹のすみ(潘めぐみ)とは仲が良く、すみには絵をかきながら自分の体験したおかしな話をしてあげるのだった。
ある日のこと、海苔を届けにお使いに行ったときに、道に迷ってしまったすず。 親切なおじさんが籠に乗っけてくれて連れて行ってくれることになるが、その籠の中には一人の少年も乗っていた。
少年は、「このおじさんは怪物で、自分たちはさらわれてしまった」 と言う。 しかし二人は作を練り、持っていた海苔を取り出し、おじさんの顔に貼り付け、前が見え失くをして、脱出するのだった。
また幼馴染みの水原哲(小野大輔)が絵を描かないで、ずっと海を眺めているのを見て、代わりに海の絵をかいて上げ、書き上げないと帰れない課題をしてあげたりしていた。
月日がたち、18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。 すずさんは自分で、良いも悪いも決められないまま話は進み、1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へとお嫁にやって来る。 呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた 「大和」 も呉を母港としていた。
見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作(細谷佳正)の妻となったすずさんの日々が始まった。
夫の両親は優しく、義姉の径子(尾身美詞)は厳しく、その娘の晴美(稲葉菜月)はおっとりしてかわいらしい女の子だった。 隣保班の知多さん(瀬田ひろ美)、刈谷さん(たちばなことね)、堂本さん(世弥きくよ)も個性的だ。
配給物資がだんだん減っていく中でも、すずさんは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていく。
ある時、道に迷い遊郭に迷い込んだすずさんは、遊女のリン(岩井七世)と出会う。
またある時は、重巡洋艦 「青葉」 の水兵となった小学校の同級生・水原哲が現れ、すずさんも夫の周作も複雑な想いを抱える。
そしてあの日にだんだん近づいて行くのだった…

原作はこうの史代のコミックスです。 彼女の作品は、以前映画化になった 「夕凪の街 桜の国」 を鑑賞してから、「ぴっぴらちょう」 「こっこさん」 「長い道」 「さんさん録」 と読みました。 彼女の独特なタッチが好きなんですが、その中で 「夕凪の街 桜の国」 と今作は、広島のあの時代に繋がっている作品ですね。
夕凪の街 桜の国」 は原題からあの時代を追っている作品で、多少ユーモラスな部分がありました。 今作は、やはり、原爆に迫っていくところから、どうしようもない気持ちになっていきます。
しかしその運命の日の前に、実は呉は軍港だったので、大きな被害を空襲のため受けているんですね。 そこで大きな悲劇が起きます。 ここは本当に見ていて辛かった…
しかし一貫して描かれていくのは、その中での庶民の暮らし、そして生きるために精一杯生活をして行く姿勢でした。
すずさんは、ずっと流されて生きてきたような女性、多くの失敗をしながら、優しい夫と優しい義理の両親に囲まれて嫁ぎ先での生活が始まりますが、そこに帰ってきたのがここの長女とその娘晴香でした。
厳しい長女の径子で、家事もてきぱきとやってしまう。 自分の居所が無くなりいったん里帰りをして、リフレッシュするんですが、そこで彼女はある自分の変化に気が付くんですね。 ここが何とも可愛いところでした。
すずさんは、能年玲奈あらため “のん” が演じています。 久しぶりに彼女の声を聴きましたね。 才能ある女優さんなので、早く復帰してほしいと思っていましたが、今度は顔をスクリーンで見たい。
この作品はクラウドファンディングで製作された作品です。 3,374名のサポーターから39,121,920円の制作資金を集めた本作。 日本全国からの 「この映画が見たい」という声に支えられ完成したものです。
クレジットが終了した後、すべての参加メンバーの名前が流れます。 ただ、参加した団体とかを見ると、やはり どうしてもこの作品を映像化したいという強い思いがあるだろう気持ちが伝わってきますね。
監督は片渕須直、アニメ作品を置く手掛けている監督さんみたいですが私は初鑑賞でした。 うちの息子も、もちろん私だって戦争体験が無いのですが、こういう作品で、少しでも当時の庶民の生きざま、その中での生活力に触れられる体験をしたいもんです。

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絵が好きなすず

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周作のところにお嫁に行く

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新しい生活が始まる

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足が悪い姑さんに替わって家事をするすず

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義姉と晴香がやってくる

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しかし戦争は激しくなっていく・・・

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