2014年作品、ニティワット・タラートーン監督、スクリット・ウィセートケーオ、チャーマーン・ブンヤサック出演。
2012年、タイの大都市チェンマイに住む青年ソーン(スクリット・ウィセートケーオ)はレスリングしか取柄のない典型的なダメ男だった。 ある時同棲している彼女・ナム(チュテーマ・ティーパナット)になんでもいいから仕事をしろと叱られ、たまたま募集していた小学校教師に応募する。
未経験の自分を教師として雇ってくれた校長(チャリー・スリッチャロー)に感謝しつつ、期待を胸に膨らませ水上学校へと向かう。
水上学校への道のりは遠く険しい。 バスを乗り継ぎ途中から小型ボートで川を渡る。 ボートで到着すると学校とは名ばかりの単なる “ボートハウス” だった。
しかし待てど暮らせど、生徒は来やしない。 水上ボートを運転しようとして彼は右腕を怪我してしまう。 そんな時、黒板の上からチョークを取ろうとして、そこに1冊の日記を見つけるのだった。
その日記は、前任者のエーン(チャーマーン・ブンヤサック)の日記だった。 彼女は2011年にここで、同僚のジーンジーン(マニーラターナ・スイチャローン)とこの水上学校にやっ て来た。 7人の生徒を高学年と低学年に分け、教え始めたのだが、ヤモリが水道タンクの蛇口に詰まっていたり、トイレに死体が流れ着いたり、ジーンジーンはあっという間に辞めて帰ってしまう。
ここでの生活は月曜から金曜日までここで生徒と共に暮らし、土日はお休み。 生徒は帰っていき、先生は家に帰るなり自由だった。
エーンはヌイ(スコラワット・カナロット)という恋人がいた。 ヌイが校長になったら、都会の学校に行き、結婚をする約束をしていたが、その前に彼女は星のタトゥーを入れて、今まで勤めていた学校を辞めざるを得なくなってしまってここに来たのだった。
熱心な教師の彼女は、教え方も上手く、生徒の信頼を得ていくが、漁師の家は貧しい。 学校に行かないで家 の手伝いをさせられる生徒も出てきたとき、彼女はその生徒を学校に連れ戻すことができなかった。
ソーンは、そんな悪戦苦闘するエーンの日記を励みに、ここでの水上生活、生徒と共に学んでいくのだった…
タイ発の映画を見るのは、ブログを始めて初めて見るかも? しかし洗練された淡いラブストーリーで大変気持ちが良い作品でした。
監督はニティワット・タラートーン、脚本を兼ねてもいます。 2005年にも作品があるようですね。
主演の二人はスクリット・ウィセートケーオとチャーマーン・ブンヤサック、この二人の水上学校での生活はちょうど1年の差があるんですね。 そのそれぞれの教師生活が、同じシチュエーションで交互に差し込まれている映像、あたかも一緒に同じ 場所で生活しているような映し方ですが、それぞれ全く違う時間軸での映像なんですね。
ソーンはどちらかというとバリバリの体育会系で、子供たちに勉強を教えること自体初めてであり、算数も苦手、自分で答えも導けない困った教師。 一方エーンはもう慣れた感じの、やり手の教師、教え方も、生徒の扱いも上手いんですね。
そしてエーンの恋人のヌイは、都会のどんどん出世コースの若い教師なんですね。大学時代に出会った二人は同じ教職という事で惹かれあって行ったらしいですが、途中から子供たちに対する接し方、子供たちに何が必要なのかという考えがどんどん開きが出ていくんですね。
はじめはソーンがエーンの日記を読んで思いを深めていくんですが、後半はそれが逆になります。 二人はいつかで会えるんでしょうか?
ちょっとやきもきしますが、爽やかな二人の熱くて優しい教師の物語でした。(G)