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ゆずの葉ゆれて

2016年作品、神園浩司監督、松原智恵子主演。

鹿児島県喜入地区の小さな町。 走ることが大好きな小学4年生の風間武(山時聡真)は、担任の教師から15年ぶりに駅伝大会が行われ、このクラスからも1名の代表が出るという事になったと聞かされる。 しかし、彼はいつも2番手、1番足の速い友達を抜くことができないでいた。
その日の下校中、バアちゃん(松原智恵子)に武は呼び止められる。 バアちゃんは最近、武がジイちゃん(津川雅彦)のところに遊びに来なくなったことを気にしていたのだ。 武は忙しくて行けないと下を向きながら言うのだったが、バアちゃんは顔出すだけで良いからとお願いするように言うのだ。
去年から寝たきりになったジイちゃん、たけしは小さいころからジイちゃんとよく遊んでいた。 そんな 武はどうしてジイちゃんのところへ行かなくなったのか?
武が 「ジイちゃん」 「バアちゃん」 と呼んでいる二人は、本当は隣の家のおじさんとおばさんだ。 早くに親を亡くした父の俊之(西村和彦)を支えてくれた二人を、武たち家族は本当の家族のように思って暮らしていたのだ。 昼寝をしていた武はその時おじいちゃんの夢を見た。
その日の夜、父と母(小林綾子)はジイちゃんの家に行っていた。 そして電話がかかってきて、姉の裕美(平岡真衣)と一緒にすぐに来るように言われる。
そこには医者もいて、どうやらもうもたないという事で最後のお別れをしなさいと言う事だった。 大阪と福岡に住んでいる二人の娘にも連絡をしたが、次の日の朝、ジイちゃんは息を引き取ったのだった。
その日の夜、お通夜という事で今日は母から早く帰るように言われた裕美と武、しかし学校に行く途中とうとう武は泣きながら後悔をしていた。 あんなに好きだったジイちゃんだったが、倒れるちょっと前から笑わなくなり苦しそうな顔をするようになった。それが怖くて倒れてから家に行けなくなった。 武はそんな自分をジイちゃんは怒っていると思って泣いていたのだった。
お通夜の準備をみんなでしているときに、見知らぬ少年が声をかけてきた。 武はおじいちゃんの親戚か何かだと思い返事をすると、一緒に遊ぼうと言う。 ゲームでもしようかと言うと、少年は、走ろうと言い、走り方を教えてくれるのだった。 その後は相撲だった。 しかしそろそろ通夜が始まると母に呼ばれた時、ちょっと目を離したすきに少年は消えていた。
そし てジイちゃんの二人の娘たちも到着し、お通夜が始まるのだった…

松原智恵子芸歴55周年を記念して製作されたヒューマンドラマです。 原作は鹿児島市が主催する椋鳩十児童文学賞を受賞した佐々木ひとみの 『ぼくとあいつのラストラン』、監督は神園浩司、長編初監督となります。
物語は鹿児島県喜入地区の農村が舞台です。 冒頭なんで駅伝の話から始まるのか? と思いましたが、実は武の父も昔は駅伝の選手であり、ジイちゃんも陸上選手だったんですね。 しかしある事情で陸上を止め、農家を一生懸命行い二人の娘を育て、嫁に出したんですね。
寂しい二人暮らしになったと思いきや、隣で早くに父を亡くした敏行を息子のようにかわいがり、さらに孫の武まで可愛がったじいちゃんのお話です。
20年前にジイちゃんは、駅伝チームの監督をしていたんですね。 そして、5年目でようやく喜入地区が優勝しました。 しかし祝勝会の後ジイちゃんは脳こうそくで倒れ半身不随になってしまって、何時しか駅伝大会も無くなり今に至ったという事なんです。
でも2020年に鹿児島国体があることから15年ぶりに駅伝大会を行うというのが冒頭のシーンでした。
なにげない、農村の二つの家族のお話ですが、これは実に良い物語でした。 両ベテランの二人の大御所はもう言うまでもありませんが、子役の山時聡真君を始め、洗練された子役とは違った朴訥とした感じがこの背景に良く合っていた。
またジイちゃんとバアちゃんの出会いの回想シーン、そしてジイちゃんがどうして陸上を止めたのか、さらにあの謎の少年の正体、ちょっと不思議な風合いの中、人間の営みがじっくり描かれた良作です。
関東では有楽町スバル座のみの公開で、派手さはありませんが、とてもいい作品に仕上がっています。 これはおすすめ!

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ちょっと昔、その日ジイちゃんはバアちゃんに何かを買ってきた

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二人は駆け落ちをしてまで結婚をした

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隣の家の息子たけしを可愛がっていたジイちゃん

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葬儀の朝、ナスをお供えしようとしたばあちゃんと俊之

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バアちゃんはある写真に気がつく

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