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たった一度の約束~時代に封印された日本人

2014年作品、石澤義典監督、柳葉敏郎夏川結衣出演。

昭和40年。  国方千世子(原田美枝子)は、かつて父・梅屋庄吉柳葉敏郎)の秘書だった佐々木(篠井英介)の元を訪ねる。 映画界の風雲児と呼ばれ、日本で初めて大手映画会社を創設した梅屋庄吉。 しかし庄吉にはもうひとつの知られざる顔があった。
“一切口外してはならず”   庄吉は遺言で、そのことを公にしないよう命じていた。 しかし佐々木は、庄吉と、生涯にわたって庄吉を支え続けた妻・トク(夏川結衣)の歩んだ道のりを世に伝えてほしいと、ある木箱を千世子に手渡す。 そこには千世子も知らない、夫婦の秘められた人生が詰まっていた。
梅屋庄吉が生まれたのは明治元年。 長崎の貿易商・梅屋商店の跡取り息子だったが、破天荒な性格ゆえに25歳の頃家を飛び出したまま行方知れずになっていた。
そんな放蕩息子に愛想を尽かした父・吉五郎(吉澤健)は、明治27年壱岐で生まれ育ったトクを跡取りとして養女に迎え入れるが、その2年後、庄吉は香港からひょっこり帰宅する。
いきなり現れ、初対面の男にトクは驚くが、それが庄吉とわかりさらにびっくりする。そんな庄吉に吉五郎は自分が死ぬ前にトクと結婚して欲しいと頼みこむのだった。死ぬ前に自分を安心させてほしいという父の頼みを断るわけにいかず、出会ったばかりの二人は夫婦となる。
そして、まもなく安心したように吉五郎は亡くなり、そして葬儀がやっと 終わった時、庄吉はいきなり現れた時の服に着替えトクの前に現れた。 そして再び一人で香港に行くと言って旅立ってしまう。
「お帰りは?」 と聞くトクの言葉に 「2年くらいか?…」 とあいまいな答えを残し、庄吉は行ってしまった。 それからトクは、義母と使用人の世話を一人で切り盛りし、庄吉の帰りを待つのだったが…

2年前にドラマ化をテレビ東京でされた、梅屋庄吉の自伝作品です。 名前をおぼろげながらしか聞いたことがなかった人物でしたが、これは魅力的な人間ですね。
明治期にはこういう豪傑がいたんですね。
監督は石澤義典、テレビディレクターで、“監督” としてクレジットされた作品はこの1作みたいです。 映画を撮っても良い作品を撮ってくれそうな気がしました。
語り部としては、庄吉の秘書だった佐々木と、娘のやり取りで物語が進行していきますが、篠井英介原田美枝子が演じています。
そして庄吉とトクに、柳葉敏郎夏川結衣。 孫文奥田達士、と云うキャスティングでした。
いったん帰って結婚した庄吉は、この後香港に渡りちょっとした名士になっていくんですね。 そのくだりが実に面白い。 そしてある人物に入れ込んでいきます。 辛亥革命を成し遂げた孫文でした。
日本人には馴染みな名前であり、多くの支援者がいた孫文、彼は日本で学び、日本人に好かれていただけでなく、その革命資金の多くは日本から出ていたんですね。特にこの庄吉の援助額は物凄いものでした。 いかに商才があるといっても、ここまで入れ 込むのはどうしてなのか? それはラストシーンで明かされますが、このくだりは本当にジーンときました。
当時の日本、いやアジアは欧米列強の食い物にされ、あからさまな下等な扱いを受けていました。 日本は何とか明治維新で乗り切りましたが、お隣の中国は、清国の弱体化の中、どうしようもない状態になって行ったんですね。
その中に現れた英雄・孫文、庄吉はこの男に賭けて行ったんですね。 アジアで、日本ともに歩んで行ける仲間としての中国を。
現実は、そして現在はそうなっているかどうか難しいところですが、こういう歴史、偉人がいたことを知って、未来に繋がっていければいいのですが。

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晴れやかな庄吉夫妻、孫文の結婚式だった

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庄吉は香港で商売をしていた

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とうとうトクがしびれを切らして香港に渡ると、そこには子供が!

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孫文と庄吉、トク

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原作小説の著者の小坂文乃さんと孫文役の奥田達士

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