初秋。 東京の郊外で暮らす三世代同居の平田一家の主・周造(橋爪功)は、モーレツサラリーマンだった時期を終えて、今はすっかり隠居生活を送っている。
今日も仲間(岡本富士太)とゴルフを楽しんだ後、美人女将・かよ(風吹ジュン)がいる小料理屋で散々女房の悪口を言って盛り上がり上機嫌で帰宅。 長男・幸之助(西村雅彦)の嫁・史枝(夏川結衣)は酔っぱらっている周造に気を遣いながらも義父の苦言に笑顔で付き合う。
妻の富子(吉行和子)もまたそんな夫を優しく迎え、寝室で脱ぎ捨てる服を拾い歩きながら着替えを手伝うのだった。
周造はいつものように靴下を脱ぎ捨てながら、ふと寝室に飾られたバラ の花瓶を見て 「その花どうした」 と尋ねる。 なんでも誕生日に花をプレゼントする事は仲間の決まりで、今日は私の誕生日なのだと富子は言う。
すっかり忘れていた周造だったが、たまには妻に誕生日プレゼントでもしてやろうかと欲しいものを聞いてみると、富子が机から持ち出してきたのはまさかの離婚届であった。 突然の宣告を受け唖然と凍りつく周造。 一方、富子はそんなことはお構いなしに冷静に部屋を出ていってしまう。
こうして、平田家の“離婚騒動”は幕を開けた…
3作前の 「東京家族」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/8335067.html のキャストをそのまま起用したこんどは喜劇。 今回は、離婚を申し出た周造の妻・富子から引き起こる家族の物語を、山田監督ならではの笑いをベースにした作品でした。
まあしっかり芝居のできる役者さんを揃えていますから、安心して笑えますね。 山田監督作品の笑わせてくれる作品は、いやなシーン、シニカルな笑いは無いので、本当に観やすい。 寅さん好きな方は、懐かしく感じる笑いだと思います。
でも物語は、熟年離婚がベースになっていますね。 会社人間の父がリタイアした後、ようやく解放された母が自分の人生を生きたくなる。 私の人生はなんだったのだろう? そう思うご婦人は多いと聞きます。
動揺するのは周造だけでなく、家族みんなでした。 ただここは珍しく3代同居の家族ですね。 今時珍しい大家族、今は核家族が当たり前の中、ちょっと羨ましく、懐かしかったです。
私の子供のころに数年間こういう生活をしました。 まあ、母は若い時に父と死別をしたんで実家に帰ったんですが、でも実父と折り合いが悪く、結局私を連れて出ていってしまったので、ほんの数年の3世代家族でしたが。
でも孫からすると口うるさい父母よりも、ちょっと甘い祖父母の方が、くみやすしですよね(^^)
こういう山田監督の笑いの作品は、またやってほしい、ホッとする作品でした。