anttiorbの映画、映像の世界

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東京家族

2013年作品、山田洋次監督、橋爪功吉行和子出演。

子供部屋の整理をする文子(夏川結衣)、今日は夫の両親が、瀬戸内海の小島からやってくるのだった。 平山周吉(橋爪功)と、妻・とみこ(吉行和子)の到着を待つ長男の幸一(西村雅彦)は、郊外で開業医を営んでいる。 そこに妹の長女の滋子(中嶋朋子)が訪ねてくる。
滋子は美容院をやっており、夫の庫造(林家正蔵)は店を見ていた。 品川駅に迎えに行くのは二男で末っ子の昌次(妻夫木聡)だったが、彼は間違って東京駅へ行ってしまう。 待ってられず自力で孝一の家に来てしまう両親であった。
その日は兄弟と長男家族と夕食をとる二人だった。 二人の心配の種がこの昌治であった。 彼は舞台美術の仕事をしていたが、田舎で暮らす両親の目には、特に父・周吉には不安定な仕事をしていて、危なっかしい息子という思いでいっぱいだった。日曜日に幸一が東京見物に連れて行く予定であったが、患者の様態が悪くなり急きょ往診に行ってしまった。 そして次は長女の家に行く二人だった。 しかし狭い部屋で、しかも雨が降り、どこにも行けない二人だった。 せいぜい駅前の立ち寄り温泉に行くくらいであった。
そこで昌治が休みを取り、二人を東京見物に連れて行くのであったが、昼食にウナギを食べているときに父が、昌治に今の職業のことを問いただすのだった。 はっきり将来が見えていない昌治に、つい言葉を荒げてしまう周吉。 
そしてしばらくしたある日、長女の家が忙しい日があり、周吉は友達の家、とみこは昌治のアパートにそれぞれ泊まりに行った。 そしてとみこは昌治の彼女の宮紀子(蒼井優)に会わせられるのだった。 気立てのいい紀子にとみこはほっとすると同時に、大変喜ぶのだった。 しかし次の日…

田舎から3人の子供に会いに来る老夫婦。 そこで起こる日常の何気ない生活。ちょっと忙しい子供たちの生活に戸惑いながら子供たちを、また孫を見守る二人。 昔は大酒のみだった周吉を演じる橋爪功、田舎暮らしの家庭を守る妻役の吉行和子。 好演でした。 人の人生ってこういうもんなのかな?って感じさせるいい作品でした。
なぜ今東京に来たんでしょうか? 息を引き取った母に向かって、長女役の中島朋子が言うセリフに、人の一生の儚さ、運命を感じます。 心配の種の末っ子昌治が、幸せな出会いをすることに喜ぶとみこですが、これで自分の人生も閉じてしまった彼女の姿は涙を禁じえません。 でも正直に、素直に生きている紀子に心底安心したとみこの気持ちはよくわかるような気がしました。
山田監督が、小津安二郎監督の『東京物語』をモチーフに製作されたこの作品。 時代の切り替わりにこの作品は、最後の周吉のセリフがそれを物語っていますが、厳しい時代に、若い夫婦が頑張って生きて行ってほしいと厳しくも温かいセリフがまた心にしみました。 山田監督集大成のしっとりとした作品でした。


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子供たちに会いに東京へ

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その日はみんなで食事を

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次男が両親を東京見物に

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そして次の日次男の彼女に会う母

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しかしそのあと…

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