夏の暑い盛り、台所では母のとし子（樹木希林）、ちなみ（YOU）が料理の準備をしている、まだお昼前だが、結構な人数の準備をしている。 実は今日は、15年前に亡くなった横山家の長男、純平の命日だった。
父の恭平（原田芳雄）は今は引退したが、開業医をしていた。 そして地元では結構頼りにされていた医師で、結構多忙だった。 いまでも、昔彼にいろいろ看てもらった元患者たちがいて、隣に住んでいる西沢ふさ（加藤治子）などは今でも何かあったら看てほしいと懇願する。
しかし良多は、昔から父と折り合いが悪く、今日泊まることも嫌がっていたし、ゆかりに仕事があると言ってキャンセルさせようとするが、いまさら無理と言われ諦めていた。
あつしは、マイペースな男の子だった。 そして良多の事を“お父さん”と呼ばず、“良ちゃん”と呼ぶのだった。 ゆかりは今日だけは何とかしてほしいと言うが、彼は気にしていないようだった。 まだ“親子”にはなっていない感じのする3人だった。
ちなみの夫は信夫 （高橋和也）といい、ちょっと軽いが人懐こい話し方をする男で、両親にもあまり遠慮をしない感じだった。 この夫婦には二人の子供がいる。
実は長男は、海で今井良雄(田口智也）という青年を助けようとして溺死したのだった。 そして彼は今日、お線香をあげにきていた。 とし子は彼に、来年も来るようにと声を掛けて見送るが、とし子はわざと彼にそう声をかけているのだ。そして恭平は“あんなやつのために”と悪態をつく。 しかしそれに、良多は激しく反発するのだった…
町医者で、周りの住人から慕われ繁盛していた開業医、その子供3人が普通に成長して長男が家を継げば問題はなかったのですが、長男の死で、多少この家族にギクシャク感があるんですね。
そんな中、命日に集まった家族たち、どうやら良多一家は、初めて実家に泊まるようで、その気まずさも画かれています。
新しい父親になかなか馴染めないあつし、でも物語の中ではおじいちゃんの恭平と意外に馴染むんですね。 まったく血のつながりもない孫に、なぜか親近感を沸かせる祖父、後年監督が撮る「そして父になる」http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/10331056.html に繋がっていく作品にも見えるんですね。
でもこのあつしの存在が、何かこの家族たちの間に染み入ってくる感じがしました。
淡々と流れていく夏のお話ですが、是枝節が効いている作品ですね。
いち早く来ている姉一家
