サンフランシスコ空港で飛行機から降り、タクシーに乗った若いカップルが、人目をひいた。 だが、人々のぶしつけな視線など気にしないかのように、黒人青年と白人女性は親しげに語り合っていた。
青年はジョン(シドニー・ポワチエ)といい、世界的に著名な医師。 女性の名はジョーイ・ドレイトン(キャサリン・ホートン)。 2人はハワイで知り合い、互いに愛し合う間柄となったのである。 ジョーイはさっそく恋人を紹介しに家に向かう。 いやそれだけではなく、彼女はもう結婚をする意思がはっきりしていた。
そして、母クリスティ( キャサリン・ヘップバーン)は、娘の婚約者が黒人であることを知り、驚くのだった。 しかしジョンはそんな彼女の母の反応を予期していて、ジョーイが席を外している間、クリスティに自分も不安な気持ちを持っていると告げる。 紳士的な黒人青年の心に触れるクリスティだった。
これから帰ってくる父・マット(スペンサー・トレイシー)は絶対反対することは目に見えていたが、娘の嬉々とした様子に、動揺は次第に喜びに変わっていった。
だが、やはり父は、そうはいかなかった。 新聞社を経営し、人種差別と闘ってきたマットも 、自分の娘のこととなれば、話はちがってくるのだ。 ジョンは、学界でも有数な人物であり、近くジュネーブの大学院に迎えられることになっているということは、マットも知ってはいるのだが、黒人と白人との結婚には、想像を絶する困難がある。 結婚を許しながらもマットは割り切れなかった。
ジョンのジュネーブ行きの時間が迫っており、2人はその前に、互いに両親の了解を得たがっていたのだった…
これはいい作品ですね。 製作当時のアメリカの情勢、そして今まで歴史的な人種差別の背景をリアルに表している作品でした。
今でこそ異なる人種間の結婚は世間的に珍しくもありませんが、じゃあ自分の子がいきなり外国人を連れてきたら? 娘であれ、息子であれ、面食らうでしょうね。
正直、取引先の担当者が外人だったら、まずはじめにしっかりコミュニケーションが取れるのかが気になりますから。
しかしこの時代はそれをはるかに超えた、白人と黒人との差別感情の色濃い時代のお話。 お互いの人種で結婚するのが当たり前という常識の中で、若いジョーイはもう純粋そのものなんですね。逆に偏見など全くない、無垢の女性。 ある意味真っ白で素晴らしい感情の持ち主なんですね。
しかしお相手のジョンは、思慮深く周りが見えている。 心のどこかで、この結婚は上手くいかないだろうと半分あきらめているんですね。
でも、だんだん本当の自分の幸せ、ジョーイとの愛の重さを感じ、彼も困難に向き合って行きます。 たった一夜のお話なんですが、なかなか見せてくれますね。 お互いの両親も合流し、若い二人にだんだん肩入れしていく。
この後、二人にはもっと試練があることが予期されますが、少なくともこの二つの過程はしっかり二人を応援していくだろうという、何か清々しい風を感じるラストでした。
監督はスタンリー・クレイマー、他作品もいずれは見たくなりました。
結婚したいと母に切り出すジョーイ
お相手は黒人医師のジョンだった
家政婦のテイリーは猛反対する
父・マットがなかなか認めることができない
母・クリスティは説得をするが