2014年作品、モフセン・マフマルバフ監督、ミシャ・ゴミアシュヴィリ、ダチ・オルヴェラシュヴィリ出演。
独裁政権に支配されるとある国、夜景を見ながら大統領(ミシャ・ゴミアシュヴィリ)は孫(ダチ・オルヴェラシュヴィリ)と話をしていた。 側近が来て、リストを示し、処刑する者の承認を乞うている。 その中には16歳の未成年者もいたが、大統領は容赦しなかった。
孫に、自分の力は絶大だということを示そうと、電話1本で灯りがここ以外すべてが消えることをやって見せ、孫の命令にも従わせることもしてみた。 しかし孫が灯りを消した後、復旧させようとすると、まったく街の明かりがつかなくなった。 そして各所で爆発が起こるのだった。
一夜明け、大統領と、夫人、二人の娘、そして孫は、護衛を従えて、車で空港に向かっていた。 空港に着くと、夫人と二人の娘は飛行機に乗り、孫も乗せようとするが、ガールフレンドのマリアが一緒じゃないと乗らないと駄々をこね、大統領と宮殿に戻ることになった。
しかし宮殿に戻ろうと車が走り始めると、もう町には火の手が上がり、各所で民衆が蜂起していた。
大統領が乗っている車とわかると民衆が襲ってきた。 護衛(ラシャ・ラミシュヴィリ)が必死に道を開け、空港に戻ろうと車を走らせるが、空港にいた元帥はもう反乱軍に寝返っていて、護衛を打ち殺すのだった。
大統領は、運転手に、北へ向かって車を走らせる。 途中ガソリンが切れ、前から走って来たバイクをを取り上げ必死に逃げる。 孫が催してきたので、トイレをさせようとした時、運転手も逃げ出してしまう。
とうとう大統領と孫は自力で逃げざるを得なくなってしまうのだった。 そして二人の逃亡が始まるのだが、幼い孫は、何が起こっているかわからない。 大統領は、宮殿に着くまでゲームをするんだと言い、まずは押し入った床屋(ズラ・ベガリシュヴィリ)で髪を切り、大統領の制服を処分し、床屋親子の来ているものを奪い、逃亡劇が始まるのだった…
公開時には見れなかった作品ですが、めでたく(^^)ギンレイにかかりました。 グルジア・イギリス・フランス・ドイツの合作映画という事なんですが、監督のモフセン・マフマルバフはイランのテヘラン出身なんですね。 また知らなかったんですが、いま日本ではグルジアという呼称を “ジョージア” に変更しようとしているんですね。
物語は、ある独裁国家のお話。 ミシャ・ゴミアシュウィリ演じる大統領、どうやら自分の後継者は、この幼い孫なんですね。 父親はどうしたのか? 物語が進んで行くと、どうやらもうこの世にいないことがわかってきます。
夜景を見ているときにクーデターが始まったことがわかります。 初めこそ、大統領の周りは、大統領に従っていますが、どんどん形成が悪化してくると、側近、軍隊が寝返っていきます。 そして民衆も、初めこそおそれますが、情勢がわかってくると、大統領に懸賞金が賭けられ、襲いかかってくるんですね。
ただもう身の危険が尋常でないことを感じていて、変装を重ねて国外逃亡を、孫を連れて敢行しようとしていく、逃亡劇となっています。
東ヨーロッパの独裁国家は消滅しましたが 、独裁者はことごとく抹殺されましたね。ルーマニアのニコラエ・チャウシェスクは、最後の演説が怒号でかき消され、捕獲され死体まで映像に残っています。 民衆を抑圧した独裁政権は、どこかでしっぺ返しを食うのは、何も外国だけでなく、アジアでも、日本でも、同じ末路を味わうんでしょう。
どう考えても国外に逃げることは困難だと見ていて感じますが、ラストに現れるダト・ベシタイシュヴィリ演じる “寛大な政治犯” が、味わい深いですね。
捕まり進退窮まった大統領がどうなるのか? それは見ている側の想像におまかせさせられるんですが。(G)