札幌近郊の貨物列車の周りを夜にうろつく男(山本圭)がいた。 彼は貨物列車を確かめ、ある列車の下部に入り込み何かをセットしていた。
約1500人の乗客を乗せたひかり109号、博多行は九時四十八分に定刻どうり東京駅十九番ホームを発車した。 新幹線の発車前に、駅弁などを運び込んだり、車内清掃をしたりするスタッフがいる。 その中の一人に若い男(織田あきら)がいた。
倒産した精密機械工場の元経営者・沖田哲男(高倉健)は、その廃工場にいて、誰かと連絡を取っている。 「予定通りに進んでいる」 そうやり取りをしている。
ひかり109号が相模原付近にさしかかった頃、国鉄本社公安本部に爆弾を仕掛けたという電話が入った。
実はこういう電話はよくかかってくるのだった。 そのたびに停車中に調べて、だいたいがガセだったのだ。 しかし今回の犯人の電話はいつもと違っていた。
特殊装置を施したこの爆弾は、スピードが80キロ以下に減速されると自動的に爆発するというのだ。 さらに、この犯人は、このことを立証するために札幌近郊の貨物列車を爆破するというのだった。
そして電話の通り一定速度にスピードが落ちた貨物列車は爆発をした。
そしてまだ要求を言ってこない犯人、止まれなくなった新幹線はどうなってしまうのか?・・・
いやーこの作品は何度見ても面白い、1975年といえば、新幹線が開通してから、まだ10年ちょっと、でもこの時期に大胆にもこの作品を制作するというのは、勇気がいるし、下手をするとこれを真似た模倣犯も出てきそうですね。
そしてそれもしっかりと作品中に触れています。
高倉健演じる沖田哲男は、誰も死なない完全犯罪を目指していました。 人生を失敗をしてしまった数人の男たちが、自分たちを見捨てた国に対して強烈なしっぺ返しをする、それも当時科学技術のトップだった新幹線にターゲットを絞り挑戦する。 この試みには、健さんが演じている以外にも、肩入れしたくなりますね。
また犯罪捜査の緊迫感もあり、もしいまリメイクしたらと考えるとどこまで踏み込めるのかな?と思いますね。
豪華キャストであり、ここでチョイ役の俳優さんがだんだん主役級になっていくという事も感じて観ていました。
ラストに完璧だった沖田の足をすくうのが、あの二人だったのがあまりにも皮肉で、物悲しいですね。
邦画の最高峰の作品でした。(10時)
主犯の沖田
爆弾セットに色めきたつ司令部
連絡を受ける運転席
共犯の古賀
新幹線は爆破されてしまうのか?