70歳の高橋龍三(藤竜也)は、元ヤクザの組長だが“鬼の龍三”と畏れ慕われた時代はもはや過去のもの。 現在は家族にも相手にされず、社会にも居場所がなく、大企業で働く息子・龍平(勝村政信)の家に肩身の狭い思いで身を寄せながら「義理も人情もありゃしねぇ」と世知辛い世の中を嘆いている。
龍平たちが1週間留守にするというので、昔の仲間のマサ (近藤正臣)を呼んで飯でも食おうということになったが、その間に変な電話がかかってくる。 龍平から会社の金で500万の損失を出してしまいこのままだと首になってしまう、という電話がかかってきた。 さっき出て行ってばかりなのに?
でも龍三はあっさり信じ、金目のものをかき集めて、待ち合わせの公園に向かう。 そこにマサも来たが、龍三は残り少ない指を詰めて、なんとか勘弁してもらえないかと金を取りに来た男に言うが、もちろんこれは詐欺だった。 背中の刺青を見て男は逃げ出してしまう。
逆に凹られる寸前、龍三たちが割って入ったところ、たまたま マル暴の刑事・村上 北野武)が通りかかり、チンピラたちは逃げていく。 馴染の村上は龍三たちを誘い飲みに連れて行ってくれる。 今はヤクザと言った瞬間に逮捕される法律ができているので、あまり目立つことはしてくれるなと忠告する村上、逆に法の目をくぐって詐欺をする輩がなかなかつかまらないと嘆いていた。
3人で龍三の家で飲んだくれていると、会社から呼び出しのあった龍平が突然帰って来る。 ヤクザの嫌いな龍平は3人を追い出す。 そしてマサの家に行った3人は、懐かしい昔のメンバーを呼ぶことにした。
集まったのは、若頭のマサ、はばかりのモキチ、早撃ちのマック(品川徹)、ステッキのイチゾウ(樋浦勉)、五寸釘のヒデ(伊藤幸純)、カミソリのタカ(吉澤健)、ちょっと遅れて神風のヤス(小野寺昭)の7人。そして龍三を親分にして、爺の組をまた立ち上げるのだった…
昔取った杵柄で、なにかと押しの強い元ヤクザの爺たち。 逆に振り込め詐欺、押し売り詐欺、法の目を盗んで表向きは、会社組織になっている現代ヤクザ達。 ぶつかるべくしてぶつかっていく二つの組織、まあ爺たちは組織と言えるほどではありませんが。
コテコテの展開で、高齢化時代の中で肩身が狭く生きている元ヤクザの悲哀を、殺伐感全くなしで描く北野作品、また違った色合いの作品で、ほろりとさせるシーンもあるんですね。
お笑いのドンのようなビートたけしと、オーソドックスな映画を今回作った監督としての北野武、映画作りになると意外に古典的な撮り方をしている菜と改めて感じました。笑いの映画なんですが、やけにテンポがゆっくりなんですね。
作りこんだ感じの作品で、ここのベテラン役者陣の演技をじっくり見せる感じで仕上げています。 今風の笑いだったらテンポ感が大事ですが、これはどちらかというと、高い年齢層に見せる作りになっていました。
毎朝、家の前で紋々を見せて木刀を振り回す龍三
留守番をしていると詐欺電話が
町で、合った刑事の村上と飲みに行く
昔の仲間が集まり
軍資金集め、5-5!?