天候のいい雪山を一人男が昇っている。 ちょっと疲れて来たようだ。 斜面ですべってクレパスに落ちてしまった。 雪山に登るために必要品をそろえている女。 彼女は椎名久美(長澤まさみ)といい、明日から北部警察署山岳救助隊に配属されるので、挨拶に来たのだったが、登山者がクレパスに落ちたという知らせが入ったところだった。
このままだと間に合わない、緊張が走る隊に、隊長・野田正人(佐々木蔵之介)はある一人の男が浮かんだ。 誰よりも山を愛する男・島崎三歩(小栗旬)だ。 近くにいるらしい。
昴レスキュー所属の救助隊員の牧英紀(渡部篤郎)にも連絡を取り、彼はヘリで現場に急行する。 三歩は無事男を発見した。 まだ生きていた。
牧の操縦するヘリに乗せ、彼は一命を取り留めた。 泣きながら誤る男に三歩は言う。 「感動した。 生きてて。 また山においでよ。」 つい、ついてきた久美は三歩っていたい誰かと聞くと、隊長は言う 「あれはただの山バカだ」。
戻ってささやかな久美の歓迎会をする救助隊。 久美の救助隊生活の始まりだった。
三歩は山を知り尽くしている男、野田が言うには彼は山そのものだそうだ。 山小屋を女手一つで営む谷村文子(市毛良枝)の名物料理は、驚くほどのでっかいチャーハン。 三歩はそれを爆弾と名付けた。 爆弾とは急速に発達した雲がどか雪となり大雪崩を引き起こすことを言い、最も恐ろしい現象を言う。
久美は生きた訓練をしたいと言い三歩と山に行く。 確かに三歩は現実に即したことを教えてくれるが、山ではまだ赤ん坊のような久美にはなかなか理解できない。
そして三歩は言う 「山で絶対無くしてはいけない物」 久美は答えられない。 それは宿題となった。 しかし久美が山の恐ろしさ、救助隊の辛さを味わうのはこれからだった…
昔の作品と思ったら、まだ2年前の作品でした。 明るく、へこたれない山男を小栗旬が演じますが、ちょっと華奢なイメージでした。
脇を佐々木蔵之介、渡部篤郎、市毛良枝等が固めているので、物語としてはしまった感じでした。 命を落とす者や、怪我をする者、父を失う子悲しい物語は多いのですが、三歩のキャラがすべて明るくしてくれるのは、ともすれば遭難がテーマのこの作品をちょっと観やすくしています。
救助隊の物語なので、当たり前かもしれませんが、二次遭難は起こさない、生存者の確保に全力を挙げるという鉄則を守る厳しさは伝わってくるものがありました。
長澤まさみは数多くの作品をこなしながら、女優として一歩ずつ成長しているのをまた改めて感じさせる作品でした。
父を亡くした少年と三歩
不思議な三歩と久美
救助隊の面々
昴レスキューの牧
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