anttiorbの映画、映像の世界

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アントキノイノチ

2011年作品、瀬々敬久監督、岡田将生榮倉奈々出演。

高校の制服が切り刻まれている、彼は壊れてしまった。 彼の名は永島杏平(岡田将生)、彼は2度親友を殺してしまった。
彼は3年後、ある会社に入った。 父・信介(吹越満)の紹介で遺品整理業 “クーパーズ” で働くことになったのだ。 社長の古田(鶴見辰吾)は 「荷物を片付けるだけではなく、遺族が心に区切りをつけるのを手伝う仕事だ。同業も増えてきたが、内はプロの仕事をやる。」 と杏平を迎え、そう言って制服を渡した。
先輩社員・佐相(原田泰造)について行けと言う。 更衣室で着替えるよう言われても返事をしない杏平。 
久保田ゆき(榮倉奈々)を紹介される。 彼女はもう2年になる。 3人で今日の仕事場に行った。 彼女に支持されても返事が無い、たまりかねてゆきから返事をするよう言われて、たどたどしく返事をする杏平。 佐相はうるさそうに依頼人に怒られていた。
団地の管理人(諏訪太郎)に鍵を貰い、片付けに入った3人。 亡くなったのは大沢秀治さん76歳、心筋梗塞で亡くなり、死後1か月たってから発見された。 杏平は机の上の写真立てに目が行った。 黙々と整理をするゆき、ただ突っ立っている杏平。遺体が発見されたその部屋では、ベッドは体液で汚れ、虫がチリのように部屋中に散乱していた。 最初は誰もが怖気づくという現場に杏平は黙って向き合う。
杏平は平気なのではなかったが、昔から緊張すると吃音になるので言葉が出ないだけだった。 杏平はゆきに遺品整理のやり方を教わっている、とその最中、彼女の手首にリストカットの跡を見つける。 
彼の高校時代は、何か変だと思っている毎日だった。 本音を決して言わず、ただ波風立てたくない毎日。 そんな中、山木(染谷将太)だけは何かを感じているようだった。
山木の家に行き熱帯魚を見せてもらい杏平だったが、山木は陰湿な嫌がらせ、いじめの張本人は松井(松坂桃李)がやっていると言う。 そして松井をこのままにしていいのかと言う。 怖くなり逃げていく杏平だが、その数日後、山木はとんでもない行動に出るのだった…

主人公・杏平が辛い高校生活を送り、心を閉ざしてしまったところから始まる本編は、暗い始まりです。 しかしプロローグを見ていると、この会社に入ることにより、彼はきっと何かを掴むだろうことが予想され、期待感が湧いてきます。
ただこの作品ではもう一人の主役の久保田ゆきの存在がまた大きいですね。 プロローグではチョイ役で、そんなにつらい過去があったことがわかりづらいのですが、クーパーズで仕事をしているときにたまに見せる暗い表情にわけあり感が見え見えですね。
すっかりベテランの佐相はもう別格ですし、社長の古田の登場シーンはさらに少なくなっています。 場面は杏平の高校生活と、今の仕事を行ったり来たりしますが、杏平の心の闇が、仕事に慣れていくにしたがって浮き彫りになり、そしてだんだん浄化されていく様が描かれています。
題名の「アントキノイノチ」が一見コメディかなと思わせるところが、却ってとっつき辛くしていますが、遺品整理業者がベースになっているところなんか心に響く設定で、それだけで引き込まれますね。 ただ辛い職業ですね。 でも頑張れば人間的に成長するでしょう。
また人間の嫌な部分も多く見せられるでしょう。 しかしラストはちょっとやりすぎの設定では?何もゆきをあんな形にする必要があったんでしょうか? ここは久しぶりにちょっと怒りを感じました。 
せっかく立ち直った彼女がどうしてああなってしまうのか? 彼女は杏平のための捨て駒?そんな気持ちになってしまいちょっと後味が悪い感じになったのは自分だけでしょうかね。 それ以外がすんなり見ていたんですけど、惜しい作品でした。

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高校時代の辛い記憶

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クーパーズに入った杏平

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ゆきに教わる

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ゆきにあるものを見つける

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ゆきにも暗い過去が

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