2011年作品、ロベール・ゲディギャン監督、ジャン=ピエール・ダルッサン、アリアンヌ・アスカリッド出演。
港町マルセイユの埠頭。 青い作業着を着た男たちが並んでいた。 これから辛い抽選が行われるのだった。
ミシェル(ジャン=ピエール・ダルッサン)が労働組合委員長を務める会社も人員削減を余儀なくされ、労使間の協議で20名の退職者をクジで選ぶことになったのだ。一人ひとり読み上げるミシェル、そして自分の名前もあった。
義理の弟で同僚のラウル(ジェラール・メイラン)はどうして自分の名前も入れたのか? 免除されていいのでは? と言うが公平性を期すためミシェルは自ら退職に選ばれたのだった。
荷物を整理するミシェル、妻の介護の仕事場に行き、事情を話すミシェル。 でも妻のマリ=クレール(アリアンヌ・アスカリッド)はヒーローの妻は辛いわね、と言って微笑むのだった。
もう3人の孫のいる2人、彼らは結婚30周年ということで、子供たち、同僚、などを呼んでお祝いの宴を催した。 そこで子供たち、親戚から送られたのは、夫婦の長年の夢だったアフリカ・キリマンジャロへの旅行券と、その旅で使ってほしいとお金が送られたのだった。 喜ぶ二人、仕事は失ったが、幸せな二人だった。
しかしこのパーティーにリストラされた他の19人も呼ばれていたのだった。 ラウルと妻のマリ=クレールの妹ドゥニーズ(マリリン・カント)は結婚しており、義理の兄弟だった。
4人でトランプをしているとき突如事件が起きた。 覆面をした強盗が2人の家に押し入ってきたのだった。 手には銃を持っている。 4人はガムテープで縛られ、「旅行券と金はどこだ!カードを出せ!」 と言い4人から奪っていった。 悲しみにくれる4人。 しかし強盗の一人はミシェルのアメコミ誌も奪っていった。 そこから足が付き犯人は逮捕されたのだが、その犯人とは?…
リストラされたとはいえ、子供にも孫にも恵まれたミシェルとマリ=クレール。 彼らに非などないのに、強盗に遭い、家族にも亀裂が入るところは痛々しいですね。 でもここで踏ん張るのが、マリ=クレーヌです。 アリアンヌ・アスカリッドの好演が光ります。
ミシェル役のジャン=ピエール・ダルッサンは 「ル・アーヴルの靴みがき」 で警視役を好演していますね。 この作品でも自分のやった抽選による解雇に思い悩む男を熱演しています。 最後妻に自分の決心を話すシーンは一人で見てたら号泣したでしょうね。
二人の夫婦の決断は普通の人から見たら“なんてお人よし!”と思われるでしょうが、尊い選択ですし、とてもまねはできません。 自分で決めて、自分を信じて生きてきた二人の強く暖かい生き様がここでも発揮される素晴らしいシーンでした。
監督のロベール・ゲディギャンの奥さまが、アリアンヌ・アスカリッドなんて何か伊丹夫妻みたいですね。 清々しい作品でした。(G)
辛いリストラの抽選会
なんと自分に当たってしまった
退職後、結婚30周年のパーティである贈り物をもらう夫妻
しかしこの後
強盗に襲われけがをしたミシェル