2010年作品、エミリオ・エステベス監督、マーティン・シーン主演。
カリフォルニア州で眼科医を開業するトム・エイヴリー(マーティン・シーン)は一人息子がいた。 ダニエル(エミリオ・エステヴェス)といい、息子が旅に出るのをトムが自ら送っていった。 それは小言を言うためでもあった。 40になる息子が世界中を旅をして歩いていることに、不安と不満をを持っているトムであった。
仲間とゴルフをしているとき携帯が鳴った。 それは息子が亡くなったという知らせであった。 “世界を見たい” と旅立った先はフランスとスペインの国境のピレネーだった。
事故に遭ったという、すぐに現地に向かうトム。 地元警察から身元を確認を促され、間違いないと言う。 火葬にするか?と聞かれ、即答ができないトムは現地のホテルで、息子の遺品を点検していた。 旅の装具一式だった。
彼は決心した。 すぐさま火葬にしてほしいとお願いすると、なんと彼は800キロに及ぶサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅を息子の代わりに成し遂げようとするのだった。
警察からは、経験もないし、ましてや体力も不安視されるが、彼の決心は固かった。出発前ぶしつけに話しかけてきた大男がいた。 オランダ人のヨスト(ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン)といい、彼はダイエットのためにこの旅に来たと言う。
巡礼者のための一夜の宿は各所にあった。 そして初めての寝床でヨストと再会した。 一人で成し遂げようとするトムに何かを感じたのかヨストが同行し始めた。
また、その後の宿では、大人数の旅人と出会った。 その中にカナダ人女性のサラ(デボラ・カーラ・アンガー)がいた。 彼女はヘビースモーカーで、この旅を終えたら禁煙するという目的を持っていた。 結構彼女も失礼なことをトムに行ってくるのだった。
またなんとなく3人で旅をしていると、また一人、作家と名乗る男・アイルランド人のジャック(ジェームズ・ネスビット)が加わってきた。 決して心を開こうとしないトムに、トムの旅の理由を真っ先に気付いたのは、ヨストであった。 そしてだんだんほかの2人もトムの事情を理解し、トムと共に行動しなければという思いになっていくのだった…
妻に先立たれ、一人息子を失ったトムの心情がこの旅をすることではたして癒されるんでしょうか? そんな思いを持ちながらこの映画は淡々と進んでいきます。
ただでさえ堅物のトム、息子の死によりなおさら心を閉じるトムに対して、事情が分かるとともに、大きな親愛の情で接する、ヨスト、サラ、ジャック。そしてある日途中で泥酔し我を忘れるトムに対して、3人の行動が胸打たれますね。
でも決して旅はつまらなくはないんです。 ユーモアにあふれ、時には喧嘩をし、そして仲直りをし、基本楽しく旅を続けていきます。
いろいろなトラブルもあり、それを通じて人と出会い、何か一緒にピレネーを歩いている錯覚に陥りました。
サラ役のデボラ・カーラ・アンガーが紅一点なんですが、化粧っ気のない女旅人を粋に演じていますね。 またヨスト役のヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲンもいいですね。 巨体が却ってユーモラスで、とにかく食べるシーンが微笑ましかったです。
生きる希望の湧く良い作品でした。(G)
“息子”と共に旅をする決心をしたエイヴリー
しかし休み休み、経験のない彼
だんだんと集ってくる仲間たち
ここが終着地?
旅の疲れもあるがホッとした4人