2021年作品、高橋伴明監督、柄本佑 坂井真紀 余貴美子 宇崎竜童出演。
在宅医療に従事する河田仁（柄本佑）は、日々仕事に追われ、家庭崩壊の危機に陥っていた。 そんな折、末期の肺がん患者・井上敏夫（下元史朗）と出会う。 娘・智美（坂井真紀）の意向で、痛みを伴いながらも延命治療を続ける入院ではなく痛くない在宅医を選択した敏夫だったが、河田は電話での対応に終始し、ついに敏夫は苦しみ続けたまま死んでしまう。
智美は河田を前に、痛くない在宅医を選んだはずなのに結局痛い在宅医になり、それなら病院にいさせた方が良かったのか、病院から自宅に連れ戻した自分が殺したことになるのかと、自責の念を吐露する。
河田が在宅医の先輩である長野浩平（奥田瑛二）に相談すると、病院からのカルテではなく本人を見て、肺がんよりも肺気腫を疑い処置すべきだったと指摘される。 自分の最終的な診断ミスにより、敏夫は不本意にも苦しみ続けた末に息絶えるしかなかったのかと悔恨の念に苛まれる河田。 そして河田は長野のもとで在宅医としての治療現場を見学させてもらい、大病院の専門医と在宅医の決定的な違いは何か、長野から学び、在宅医としてあるべき姿を模索していく。
2年後、河田は敏夫と同じく末期の肺がん患者である本多彰（宇崎竜童）を担当することに。 本多はジョークと川柳が好きで、末期がんの患者とは思えないほど明るく、妻・しぐれ（大谷直子）も彼と同様にいつも明るかった。 河田は以前とは全く異なる患者との向き合い方をしていき……。
これはよくわかる作品でした。
監督は高橋伴明、「TATTOO＜刺青＞あり」 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/9915877 以来ですね記事を書くのは。 最近の作品は見ていませんでした。
主演は柄本佑、「Red」 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/2020/03/08/060000 以来の記事となります。
そして坂井真紀、「宇宙でいちばんあかるい屋根」 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/2020/09/24/060000 ではいい母親を演じていましたね。 泣かせてくれました。
物語は、病院をやめ在宅医師になった河田仁のお話です。 夜中に電話がかかることもしばしばで、妻は嫌気がさしています。 どうやら病院を辞めることに妻は面白くなく思っていたようでした。 彼が見ているのは、病院から在宅看護にした患者です。 それは人生の最後を安らかに自宅で終えたいという家族のことを見ているんですが、彼の患者は必ずしもそうではなく、苦しんだ挙句亡くなっていく、そんな患者も多くいます。 そして夫婦間はとうとう離婚に至ってしまい、彼の診療は打算的になっていきます。
そして、肺がん患者の井上の家族を担当することになりますが、娘の智美が一生懸命看護をしてもただ苦しみが増していく父に、何の補助もしてやれなく、最後も苦しみ抜いて死んで行く井上、そして智美からはあなたを選んだ自分の心が痛いとまで言われてしまいます。
そしてショックを受けた河田は、先輩の在宅医の長野に相談をして、彼の医院にお世話になることになります。
医療が進んでも、このがん患者の苦しみはなかなか解放されませんね。 もちろん生還する人も増えてはいると思いますが、癌の種類でも進行性の早いもの、しぶといもの、そしてやはり神経や骨まで達すると、痛みは尋常じゃなくなります。 そして病院では管だらけにされる、確かにそうなんですよね。 手術後2週間で無理矢理退院される、それも事実です。
ある内科医の先生が言っていました。「外科医って大工なんだよね」悪いところを切り取って、それで直したようにさせていくって。 まあ人間の死に方ってどうなんだろう？ そんな症例を色々見れる作品ですが、この後半出てくる本多夫婦のような最後を見惚れるのは理想だと思います。
在宅医師になった河田
在宅を選んだ家族
しかしそれは苦しみの連続だった
何もできなかった河田は
先輩医師を頼る
そして井上を担当
