anttiorbの映画、映像の世界

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判決、ふたつの希望

2017年作品、ジアド・ドゥエイリ監督、カメル・エル=バシャ アデル・カラム出演。

レバノンの首都ベイルート。 レバノン人男性トニー(アデル・カラム)は、キリスト教マロン派の右派政党である 「レバノン軍団」 の党大会に参加し、熱心に耳を傾けていた。
帰宅した彼を迎えたのは身重の妻シリーン(リタ・ハイエク)。 彼女は、ベイルートではなく、もっと静かな場所に引っ越したいと話し始めるが、ダムールに行きたいという彼女にトニーは 「ここがいい」 と主張し、声を荒げる。
違法建設の補修工事の現場監督であるパレスチナ人のヤーセル・サラーメ(カメル・エル=バシャ )は、トニーの家に新しい排水管を取り付けるが、ベランダに出てきたトニーは排水管を叩き割ってしまう。
その前にも二人の間で一悶着あって、排水が作業をしている彼らにかかってしまったから、配水管をつけたのだが、それを壊されたヤーセルはトニーに向かって 「このクズ野郎!」 と怒鳴ってしまう。
かねてからパレスチナ人に反感を持っていたトニーは、ヤーセルがパレスチナ人だとわかってあのような行動をとったのだが、彼の言葉が許せなかった。
補修工事を請け負う建築会社の社長に謝罪を要求し、謝罪しなければ告訴すると息巻く。
社長は謝罪するようヤーセルを説得して、トニーの仕事場であるガレージに連れていくが、トニーは敵意むき出しで、ヤーセルに対して 「おまえらはみんなシャロンに抹殺されていればよかったんだ!」 と叫んでしまう。
パレスチナ人にとって最大の侮辱の言葉を浴びせられ、激怒した彼は思わずトニーを殴りつけ、助骨を2本折る怪我を負わせてしまうのだった。
父親からは 「もとはお前の言葉からだ」 と窘められ、シリーンからも非難されながらも、怒りのおさまらないトニーはヤーセルを告訴に踏み切るのだった。
裁判が始まり、ヤーセルはトニーへの暴行は素直に認めたが、トニーから投げつけられた言葉については黙秘した。 裁判長は証拠不十分のため公訴棄却を言い渡す。
そしてある日、トニーは無理な仕事をしたために気絶してしまい、夫を探しに来たシリーンは倒れている彼を運ぼうとして、急に産気づいてしまうのだった・・・

これは実話をベースにした作品と冒頭にテロップが流れます。
監督はジアド・ドゥエイリ、日本初公開作品となりますね。
主演はまずトニー役でアデル・カラム、彼も日本での公開作品はじゃ初めての出演ですかね?
そしてヤーセル役はカメル・エル=バシャ 、監督としても活躍をしているようですが、彼も日本公開作品は初めてのようです。

物語は、ちょっとしたことから大掛かりな民族対立、法廷劇となっていくお話です。 トニーはレバノンに住む右翼思想も持ち主、そしてちょうど党大会に参加して、感化されている時でした。 そして工事業者だったパレスチナ人のヤーセルと行き違いから、争いになってしまいます。
しかしレバノンにおけるパレスチナ人は、肩身が狭い扱いを受けていますし、どうやら合法的には雇われてはいないようです。 しかしヤーセルは人望もあり、仕事はできるんですね。 しかしそんな彼がどうしようもなく憤慨してとニーのボディ一撃を食らわしてしまい法廷に。
しかしここでもトニーに侮蔑された言葉を言おうとはしません。 潔い態度で、相手を慮ってのことだとわかります。 しかしどうしても謝ることだけはしたくない意地も感じます。
そしてお互いに弁護士がつくんですが、ここにもひとつのドラマがあります。
この作品は冒頭、トニーが妻の引越しをしたいという話を却下します。 実は彼の気持ちの奥底に重要な秘密が、子どもの頃のつらい思い出があるんですね。
心が痛むお話、お互いが理解できる辛い作品ですね。

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身重の妻を抱えるトニー

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仕事が出来人望もあるヤーセル

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しかしヤーセルは我慢できなかった

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そしてお互い弁護士をつけて

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法廷闘争に

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そして大きな問題に発展していく

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