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罪の余白

2015年作品、大塚祐吉監督、内野聖陽 吉本実憂 谷村美月 葵わかな出演。

安藤聡(内野聖陽)は千葉県の徳稜大学の行動心理学の講師をしている。 妻に先立たれ、17歳の高校生になる娘・加奈(吉田美佳子)を男手ひとつで育てきた。
安藤と加奈の親子仲は良好で、互いに殺し合うから1匹ずつ小さな水槽に入れられている闘魚に興味を示した加奈に、安藤は青い闘魚を買ってプレゼントした。
何の悩みもないように見えた加奈が、ある日通っていた女子高校のベランダの手すりから落ちて死んでしまう。 現場は多くの同級生が目撃しており、加奈が自発的にベランダの手すりに立って、よろけて転落死したと明白だというのだった。 加奈の死は自殺として処理されることとなる。
加奈の転落の時、安藤は大学の心理学の講義の最中だった。 矛盾する異なる選択肢が2つあり、どちらかを必ず選ばなくてはならない時に発生するストレスを二重拘束(ダブル・バインド)と言い、その蓄積の結果が統合失調症になるという講義の最中だった。
講義を終えて携帯を見ると、24件もの不在着信が入っていた。 安藤よりも年下の独身女性の助教授・小沢早苗(谷村美月)が 「大学の事務所に緊急電話があり、加奈さんが事故で重態です」 と安藤に知らせる。 安藤は急いで病院に行くが、加奈は死んでしまっていた。
後日、加奈の葬儀が開かれ、担任の女教師・岩崎(三浦朋香)が加奈へのメッセージをノートに書けと生徒の間で回し、葬儀の席に持っていく。 岩崎先生は葬儀の席で安藤にノートを渡しながら、お悔やみを言い、あとにクラスメートが続く。
当初は自殺とされたので、安藤は思い詰めてしまう。 行動心理学の講師をしながら、なぜ娘・加奈の異変に気づいてやれなかったのだろうと自分を責めた安藤は、大学に辞表を提出した。
娘のことすら理解できなかった無力さを嘆くが、大学教授宮崎(利重剛)は安藤を休職扱いにし、「教壇に立てそうになったら戻ってこい」 と言ってくれる。
早苗も 「何かあったら言ってくれ」 と安藤に言うが、早苗は安藤に思いを寄せており、その後も安藤宅をこまめに訪問して、手作りの食事を差し入れてくれるのだった。
休職した安藤は加奈の部屋を調べて自殺の原因を探るが、遺書らしきものも見つからず、ただパソコンにロックがかかっており、解除のパスワードが分からないのだった。
そんな折、娘の死に涙する笹川? と名乗る美しいクラスメートが現れ、加奈が日記をつけていたことを知る。
彼女に立ち会ってもらい、パソコンを開けようとするが、試行錯誤する中、パスワードは母の命日だった。 そしてようやく開いた彼女のパソコンには、日記が書かれていた。 そしてその内容は、どうやら二人のクラスメート、その中の咲という女子生徒にいじめられているようだった。
笹川は用があるからと言って帰っていくが、私も中学時代苛められていたので気持ちがわかると泣きながら帰っていく。
安藤は、咲の手掛かりを掴もうと笹川に会いに学校へ行くが、なんと笹川を呼んでもらうと彼女は家に来た人間とは全く別人だった。 彼女(葵わかな)に、木場咲(吉本実憂)と新海真帆(宇野愛海)という日記に書いていた人物を教えてもらう。そ
して家に来て笹川と名のった女子生徒が咲だという事がわかるのだった。
そして彼は真相究明に動き出すのだったが…

これは恐ろしいお話ですね。 苛めというのはこういうもんかもしれませんね。
監督は大塚祐吉、「スープ ~生まれ変わりの物語~」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14081197.html を見ています。
主演は内野聖陽、「海難1890」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13711904.html 賀映画としては近作になります。 好きな俳優さんです。
咲役は吉本実憂、テレビ作品に多く出ている若い女優さんですが、彼女は成長するでしょう。
笹川七瀬役で葵わかな、彼女の演技はしっかりしてますね。近作は 「ラーメン食いてぇ!」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15421884.html ですね。
そして谷村美月、もういうことのない女優さん、「プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15414160.html が近作となります。

物語は、一人娘を失った父親の、娘の死の真相を探っていくお話です。 冒頭部分で、はっきり苛めという事は語られていくんですが、巧妙な手口で死に導いて行く
恐ろしい少女の存在が示されます。 しかしこの冒頭部分だけでは、死の危険性のある行動を取るまでに至るには不自然なんですね。
その手がかりの一つは、彼女の日記ですね。 彼女のノートパソコンがキーポイントになりますが、あまりにも状況が明白なので、警察は自殺だと頑強に決めつけますし、担任も学校側も、信じて疑いません。 この時点では、加害者側と、安藤だけが事故、そして事故を起こさせようとする、ある意味殺人に近いという事を意識しているんですね。
そして咲は、巧妙に周りを固め始めます。 実は彼女は女優志望、周りを騙すのは、演技の勉強をしているがごとく、冷静に、冷徹に実行していく、こんな少女がいたら恐ろしくて近づけませんがね。
今作はなかなか重い “苛め” がテーマになっていますが、それ以上に感じたのは、女子高で、グループ、仲間に恵まれないと、ここまで追い込まれてしまうのか!という事ですね。
後味もそんなによくないですが、多少真実は明かされたんでしょうね。

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自殺?それとも

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娘の死を知った安藤

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彼はどうしても自殺とは思えなかった

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そしてこの女子生徒が現れる

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彼女の名を語って

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そして娘の死因を調べはじめる安藤

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