anttiorbの映画、映像の世界

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生きる街


石巻市、2011年3月11日に起こった東日本大震災で、津波の被害にあった町。
ちょっと小高い坂を上った地で、“ちえこの家” という別荘を借りて、民泊施設を営んでいる佐藤千恵子(夏木マリ)、彼女は生まれ育った海沿いの町で、漁師の夫・俊之(石倉三郎)、長女:佳苗(佐津川愛美)、長男:哲也(堀井新太)と共に幸せに過ごしていた。 しかしその暮らしは東日本大震災により一変。 津波に流された夫がいつか戻って来ると信じ、千恵子は地元を離れずに生きている。
長女の佳苗は、トラック運転手の野田隆(吉沢悠)と結婚して、今は名古屋に住んでいて、まだ子供がいないので看護師をしていた。 彼女は入院患者の扱い、特に末期の患者に冷静に対処できる。 それはあの過酷な被災体験の経験からだったが、彼女にも大きなトラウマがあることを知っているのは、ここでは夫だけだった。 そして頑なに子供を作ることを嫌っていた。
長男の哲也は、そんなに離れていない街で暮らしていたが、母一人にしているということに負い目を感じつつ、どうしても帰れないのだった。 そして仕事も長続きせず、今は居酒屋の客引きをしながら、キャバ嬢の女・真也(仲村みゆき)と付き合い始めていた。
そして、韓国からカン・ドヒョン(イ・ジョンヒョン)がこの石巻にやって来ていた。 彼はある人物にどうしても届けたいものを持っているのだった。
千恵子は、たった一人で、民泊施設を切り盛りしていた。 たまに佳苗から電話が来ても、忙しそうにして早々に切り上げてしまう。 一見客たちと過ごしている時が楽しそうに見えるのだが。
あれから7年、家のあったところは今は何も残っていない。 そして仮設に入っていた人もだんだんと引っ越していく。 ドヒョンは町で、会いたい人の消息を尋ねると、もうその人は亡くなったことを知らされる。 そして奥さんが生きているという事を聞き、会いに行くのだったが…

あれから7年が経ちましたね。 私がこの作品を観たのは、3月10日、7年前の震災の前日でした。 前の日に福島県の、山間部の工場に行き、福島市で一泊するため移動していたころですね。
監督は榊英雄、「捨てがたき人々」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15103981.html を見ていますが、出演作品としては先日 「blank13」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15396797.html を見ています。
主演は夏木マリ、「パーマネント野ばら」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12951743.html でも母親役を、「陽だまりの彼女」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12614970.html では謎の女性役をしていました。
そして佐津川愛美、近作の出演は 「ユリゴコロ」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15159197.html ですね。
堀井新太、彼はあまり見たことがありませんが、テレビ出演が多いようですね。
イ・ジョンヒョン、韓国の俳優さんですが、彼も初めて見ました。

物語は震災から7年後の石巻を舞台とする家族の物語です。 大黒柱の父を失い、それでもいまだ行方が分からない父の帰りを待っている佐藤千恵子、もちろんもう亡くなっていることは重々わかっていますが、彼女はまだ帰ってこないと言っています。
長女は、看護師でした。 そして多くに犠牲者を必死に世話をし、看取ったことから、大きなトラウマを抱えています。 そして長男の哲也は、前途有望な運動選手でした。 しかし、震災の時に怪我をして選手を辞めざるを得なくなり、そして荒んで行ってしまいます。
しかしそんな時に、一人の若者が韓国からやってきます。 彼は父の手紙を持ってくるんですね。 それをなんと俊之に渡そうとしに来たのでした。
母、娘、息子あまりにも大きな心の傷は、おそらく年々たっても切ることは無いでしょう。 しかし少しずつ空いた心の穴は埋めて行けるのでは? そんなきっかけを韓国の若者がもたらしてくれるんですね。
たった一人で風の強い夜、千恵子は胸が苦しくなり泣き叫びます。 もう絶対に戻ってこない俊之、現実が迫ってくるシーンでした。
もう7年、まだ7年、復興はまだまだ時間がかかります。 そんな石巻の風景を見せてくれる作品でした。

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ひとりで“ちえこの家”を切り盛りする母

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猟師との体験ツアーを企画したり

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何も知らない海外の民泊者も

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そこに韓国から一人の青年が

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娘は名古屋に住んでいた

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