しかし、ナチス擁護者でホロコーストを否定するイギリス人歴史家アーヴィング(ティモシー・スポール)は、デボラの講演に乱入し、デボラを激しく攻撃して来るのだった。 アーヴィングを相手にしないデボラ、しかしアーヴィングはイギリスで彼女と出版社を相手に、名誉を傷つけられたと告訴という手段に出てきた。
イギリスで告訴をするということは、訴えられた側が証明をするアメリカとは正反対の裁判方式だからで、なかなか悪知恵の働く相手だった。
対抗せざるをえないデボラはイギリスへ行き、弁護士チームを結成する。 アンソニー・ジュリウス(アンドリュー・スコット)はあのダイアナ妃の離婚を扱ったやり手の弁護士だった。
しかし彼はチームをまとめる役割、法廷で争うのはランプトン(トム・ウィルキンソン )だった。 彼ら弁護士チームと会うデボラ、イギリスとアメリカの裁判の進め方の違いに戸惑いながらも弁護団の意見を受け入れ裁判が開始されことになる。
裁判準備のため、デボラと弁護団は実際にユダヤ人虐殺が行われたポーランドのアウシュビッツ収容所跡地へ向かう。 ランプトンが遅刻して来たことにデボラは不信感を抱く。 しかし彼はあることを検証していた。 弁護団はユダヤ人虐殺が行われたガス室等を訪れ、証拠を収集する。
さらに若い二人の弁護士たちは、アーヴィングの家に行き、証拠としての日記の検証を要請するが、壁一面の日記を提示され、面食らってしまうが、彼は提出を拒否はしなかった。
さらに、犠牲者の証言を求めるデボラに対し、厳密な証拠が求められる裁判では、50年前の曖昧な記憶に基づく証言は不利になると忠告をしてくる。
そしていよいよ裁判が開始されるのだった・・・
主演はレイチャル・ワイズ、近作は 「光をくれた人」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14956511.html ですね。 悲しい役を演じていました。
物語はデボラ・リップシュタットというホロコースト学者が、どう見てもネオナチとしか考えられないイギリス人の歴史学者のデイヴィッド・アーヴィングと対決をしていく法廷劇です。 これは、「アーヴィング対ペンギンブックス・リップシュタット事件」 といわれこの映画化ということですね。
そもそも今の時代に、ガス室はなかった、ホロコーストは無かったと発言する、それも歴史学者がいるとは。 しかし裁判で争われるのは、そういう事実がどうとかではなく、彼が “事実をごまかしてなかったことに結び付けている” ということの証明なんですね。 ただ世間の人にとってはホロコーストが “あるかないか!” という争点に見えてしまうってことに繋がる。
弁護団は勝つことに執念をかけ、デボラはアーヴィングの主張 「ホロコーストは無かった」 を駆逐しようとする、同じ方向は勝つということであり、目的が違うんですね。 しかし、勝つことが共通していることから、やり方に不満を見せながら彼女をじっと口をつぐんで裁判が進行して行きます。
法廷弁護士役のトム・ウィルキンソンが実に上手いですね。 プロの法廷弁護士の仕事を見せてくれます。
しかしこの裁判は大変重要でしたね。 一歩間違うと、歴史的な大虐殺が否定されかねない、最後はヒヤヒヤの判決ですが、だからと言ってアーヴィングが自説を曲げ反省するかはまた別の問題なんですが。
講演会で攻撃を受けるデボラ
そして彼・アーヴィングは彼女を訴えてくる
自ら弁護士を兼ね、イギリスで告訴をする
デボラは強力な弁護団を結成
しかし彼女は一切の発言をしないという戦法を取らされる