anttiorbの映画、映像の世界

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望郷

2017年作品、菊地健雄監督、貫地谷しほり大東駿介主演。

夢都子(貫地谷しほり)は、娘を連れ買い物に来ていた。 そこで偶然幼馴染みの航(大東駿介)に会った。 凄く久しぶりの再会だった。 白綱島の小学校で教師をしていると聞き、彼女の夫と同僚なのがわかり、ちょっと嬉しくなる夢都子だった。
航がぽつりと言った言葉、「よくあのお屋敷を出たね」、彼女は 「いろいろあったんだ」 と言い返すのだった。

<夢の国>
夢都子(伊東蒼)は、父・田山高雄(相島一之)、母・佐代子(木村多江)、祖母・セツ(白川和子)と暮していた。 その日学校の友達から夢の国:ドリームランドの話を聞いた。 行った子からキーホルダーのお土産をもらい、無償に行きたくなり、友達からも、夢都子の家は大きくてお金持ちだから行けるでしょ?と言われる。 本土にあるのでなかなかほかのこどもたちはいけないところだった。
その日の夜、父と母に話すと、父はお酒も入り機嫌が良く、じゃあ行こうかという感じになった。 喜ぶ夢都子だった。
しかし次の日の朝、母にいつ行くのかと聞くと態度は一変、行けるわけがないと言われる。 そう、この家の実権は祖母が持っており、母はいつも祖母の機嫌を損ねないよう顔色を伺って暮らしているのだった。 そしてセツはそんな浮かれる夢都子を叱り、そんな躾をしている母にもつらく当たるのだった。 そしてそんな態度は夢都子にも飛び火し、夢都子にもそんな生活が強いられていくのだった
ある日、商店街のくじ引きでドリームランド行きのチケットを当てたが、自分たちだけ楽しむと祖母の機嫌が悪くなると母はチケットを返した。 窮屈で祖母という家のしきたりに縛られた家庭で育った夢都子はそんな感じで育っていくのだった…

<光の航路>
中学教師の航は必死に走っていた。 薄汚れた海岸の物置小屋の中に、真っ赤なペンキを掛けられた少女がうずくまっていた。 三浦真衣(川島鈴遥)は苛酷ないじめに遭っていた。
航はもちろん犯人の女生徒に気が付いていて、その女生徒に話を聞こうとするが、その女性とは恍け続け、そしてとうとうその母親(石橋けい)が学校に乗り込んできてしまう。 実は彼女の夫はここの学校の卒業生で、航の父・正一郎(緒方直人)も教師をしていて、昔殴られたというのだった。
先輩教師はことが大きくなることを嫌がり、その家に謝罪に行けと指示をしてくる。 納得できない航だったが、そんな彼の浮かない表情をさりげなく心配する母・大崎洋子(片岡礼子)だった。 母に父の事を聞くが、仕事のことを母は全く知らなかった。
そこで彼はふと1回だけ父に頬をはたかれたことを思い出す。 それはこの島であった最後の進水式のことだった。
昔ここには造船会社の工場があり、新船ができると必ずここの港で進水式をやり、多くの人間が集まってきたのだった。 それは島の一大イベントで、皆が来たのだったが、その最後の進水式に家族で、父と共に行く予定だった。
楽しみにしていた航(荒木飛羽)だったが、急な仕事で父は行けなくなってしまう。 母と二人で見に来た航だったが、なんとそこに父は知らない少年と来ていたのを見てしまう。
急に悲しくなり、進水式を見ないで家に帰ってしまう航、そして航は学校で友達を突き飛ばしてしまうのだった。 それを父に聞かれ言い訳をしようとした時に父の平手が飛んできたのだった。 そこから二人の関係はぎくしゃくして、父は病で帰らぬ人になってしまったのだった。
そのとき父に一体何があったのだろうか? 航はは今そのことが急に頭を駆け巡るのだった…

「望郷」 という原作は6編からなるという事で、今回映画化になったのはその2編ですね。 これはちょっと全部読んでみたいし、他の4編も映画化して欲しいですね。
監督は菊地健雄、初めて監督作品を観ましたね。
主演は二人、前半の話は貫地谷しほり、もうしっかりとした女優さんに成長し、安心して観れますね。 映画で私が見た作品はちょっと前で、「悼む人」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12734559.html 「偉大なる、しゅららぼん 」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13101735.html  になってしまい、テレビ出演が多いですね。
そして大東駿介は、「海難1890」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13711904.html に出演していました。
同じ島でのお話、それぞれに子供の時に接点がある二人ですが、二つの話の前に再会シーンが入るんですね。 片やずっとこの島で生きている夢都子、そして島を出て大学を出て教師となり、この島に戻って来た航、こんな島だからこその夢都子と、この島ににもという航。
対照的であり、人間の難しさを表現したお話2編ですね。
母と娘のわだかまり、そのキーポイントは “夢の国=ドリームランド” なんですね。そして父と息子のやり残したことは進水式での出来事だったんです。 夢都子の話では彼女の夫役の森岡龍がいい演技でしたし、航の話では彼の母親役の片岡礼子が上手かったですね。 そして浜野謙太が真面目な役をしていたのがちょっと珍しかった。
これはいい日本のドラマですね。 原作の良さをしっかり生かした作品に感じられ読みたくなる映画だと思います。

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再会する二人

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幼いころの夢都子

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ドリームランドにいける?

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しかし次の日に撤回される、そんな毎日だった

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息が詰まる実家

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そして今の夫と知り合う

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故郷で教師になった航

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しかし苛めている女子生徒の母が乗り込んでくる

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父の思い出が蘇ってくる

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母と行った進水式、そこで

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