ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は、そのバラバラ事件の取材も頼まれる。 テレビ局から取材車を借りていた手前、毒づくが渋々取材にやってくる。 現場は物々しい感じで、警察に包囲され、情報は全く取れなかったが、そんな彼に一人の少年・天野(高杉真宙)という謎の若者が近づいて来る。
彼は立花あきらに会いに来たが、行方が分からないので一緒に探してくれないかというのだった。 そして彼は驚くべきことを桜井に告げる。
一方、行方不明だった夫・加瀬真治(松田龍平)が見つかり、病院にいる連絡を受け、妻の鳴海(長澤まさみ)が引き取りに来る。 診察した医師からは、きわめて不思議な症状だが、健康には異常がなく、一切の記憶が無くなっていると告げられる。
しかし彼女は夫は嘘をついているのではと疑っていた。 それは不倫をして別の女性と旅行に行ったことがわかっているからで、都合の悪いことを隠していると思っているからだった。
鳴海はイラストレーターの仕事をしている。 とりあえず夫を休ませようと、歩くことさえままならない真治に嫌気がさしてくるが、なにか前と違う夫に戸惑いを隠せない。そんな時、親と喧嘩してきた妹・明日美(前田敦子)が転がり込んでくる。 その時、明日美が私は義理の妹という表現をして、その言い方に真治は興味を抱くのだった。 わかりやすく説明をする明日美は、家族という表現を使うのだが、その時真治はいきなり 「それをもらうよ」 と言い、指を彼女の頭にそっと触る。
その瞬間、明日美は急に涙を流し、帰ると言って鳴海の手を振りきり出て行ってしまう。
いきなり変わってしまった妹に真治が何かをしたのか? しかし鳴海は、仕事に出かけていく。 その間に真治は散歩と言って外に出て一軒の家に入って行く。 そこにいた青年・丸尾(満島真之介)から今度は、“自分”という概念をもらうのだった。
真治、いやそれらしきこの男は、人の概念を奪う事ができ、奪われた人間は永久にその概念を失ってしまうのだった。
そして桜井と天野は、病院に入院、隔離されているあきらを見つけるのだった。 そうこの二人も真治と同じ能力を持っている。 3人は宇宙人だというのだ…
監督は黒沢清、前作は 「ダゲレオタイプの女」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14499937.html ですが、その前は 「クリーピー 偽りの隣人」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14233466.html ですね。 私は今作が一番最近では面白かった。
主演は松田龍平、近作は 「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15101559.html ですね。 ちょっと出番はそんなに多くはなかったですが。
そして長澤まさみ、近作は 「銀魂」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15034352.html ですが、主演作となると 「海街diary」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13165901.html まで遡ってしまいますね。
物語は、なかなかシュールな展開ですね。 本当に宇宙人なのかどうかは、早い段階で間違いない感じがしますが、人間に乗り移るシーンなどはありません。 また個体差があるようで、それは接触した人間だったり、動物だったりしたことで差が生じているようですね。
また順応性の問題もあるようで、天野少年が一番クレバーで現実的、あきらは戦闘的、そして真治が穏健的な感じですね。 それは接触した人間でも差がある感じがします。
そして独特な立ち位置なのが、ジャーナリストの桜井ですね。 フリーな立場で、家庭は崩壊している。 だからネタになることを追っているうちに 天野と行動を共にしていく。 彼らはガイドという存在を必要とするんですが、天野は桜井であり、真治は妻の鳴海なんですね。
脅威なのは、彼らは初めはほんのわずかな時間で征服できるというんですが、そののち3日くらいはかかるかなと言い直します。 そしてとうとう攻撃が始まるんですが、人間側もただでは終わらず、抵抗を見せて行きます。 そんな役に笹野高史さんが当たっています。
こういう作品は、やはり黒沢監督ならでは(^^) 原作物ですが、監督の感じに久しぶりに嵌ったお話だと思いましたが。
一家惨殺のあった生き残りの立花あきら
桜井をガイドにする天野
夫を引き取りに行った鳴海
彼は別人になってしまっていた
概念を取ってしまう真治