タイトルマッチ前の計量に姿を現さない、ロードアイランド州出身で自惚れの強いビニー・パジェンサ(マイルズ・テラー)、プロモーターのルー・デュバ(テッド・レヴィン)や父のアンジェロ(キーラン・ハインズ)は慌てることなく、ホテルを間違えていたと嘯くのだった。 彼は最後の減量をギリギリまでしていた。 ようやくガウン姿で現れた彼の体は引き締まりリミットぎりぎりでパスをした。
1988年、パズマニア・デビルの異名を持つボクサー・ビニーは、スーパーライト級チャンピオンのロジャー・メイウェザー(ピーター・クイリン)に挑戦をしたが、圧倒的なパンチを食らい惨敗を喫してしまう。 試合直後倒れたビニーは病院に直行、ルーはもう限界ではないかと暗にほのめかす。
しかしまだまだやりたいビニーは、父とともにルーに談判に行く。 そこで紹介されたのが、飲んだくれのトレーナー、ケビン・ルーニー(アーロン・エッカート)だった。
彼はマイク・タイソンのトレーナーをしていた名トレーナーだったが、タイソンのチームから離れ、失意の中酒におぼれていた。 しかしビニーはジムの中にあるタイソンとの写真に驚くのだったが、どうしてタイソン と別れたのか? という質問にはお茶を濁すだけだった。
ルーが自分のところにビニーを送ったことは、ルーに捨てられたも同然と厳しいことを言う中、階級が上の選手といきなりスパーリングをやらせる。 試合後ほとんど練習をせず、体重も増加していたビニーは、一方的に打たれるが、そこでケビンはあることがひらめくのだった。
体重が増加したそのままパンチ力があること、そして彼はビニーに2階級上のスーパーウェルター級で勝負してはどうかと提案する。
言われるがままに練習に励むビニーに、再びルーが息子のダン(ジョーダン・ゲルバー)と一緒に近づいてきた。 それも世界挑戦の試合だった。 相手はフランスから来た黒人ボクサーのジルベール・デュレ(ジーン・ピエレ・オーガス チン)で、強い相手だった。 デュバ親子に利用されていると思ったルーニーは止めようとするが、ビニー親子はこの試合を受けてしまう。
試合は地元で行われることになるが、今までの戦法では決して勝てないと思ったケビンは、足を使って止って打ち合わない戦い方をビニーに教え込むのだった。
試合が開始され、さすがに2階級上のパンチは、硬く重いことに気が付いたビニーは、ケビンの言うとおりの戦い方で、見事世界王者に返り咲き2階級制覇に成功するのだった。
再び上り詰めた頂点、家族も友達も、もちろん本人もケビンも喜びの頂点にいた。 しかし義理の兄のジョン(ダニエル・ソーリ)の運転の新車に乗っているとき、対向車線からはみ出した車と正面衝突、彼は首の骨を折る重傷を負ってしまう。
二度と歩けなくなる恐れがあり医師からは脊椎を固定する手術を勧められるが、ボクサーの道が絶たれてしまうため、ビニーは遥かにリスクの高いハローという脊椎固定手術を選択し再起を密かに決心するのだった…
この作品で登場する、メイウエザーやデュランは超有名ですが、最近世界のボクシングをあまり知らない私には、このビニー・パジェンサはあまり知らない選手でした。彼は2回級王者と言われているんですね。 でも世界王者には5度なっている。 察すると、WBC、WBA、IBFの王者じゃない、他の団体の王者はあまり認められていないってことなのかと思うんですが。
映画のラストに戦うデュランの持っていたタイトルは、IBC=国際ボクシング評議会なんでマイナータイトルという事で、正式な世界チャンピオンとはカウントされないってことですね。
監督はベン・ヤンガー、監督2作目で初鑑賞でした。 主演はマイルズ・テラー、「セッション」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13053345.html で一躍有名になった彼は、「ダイバージェント」シリーズ https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/MYBLOG/yblog.html?fid=0&m=lc&sk=0&sv=%A5%C0%A5%A4%A5%D0%A1%BC%A5%B8%A5%A7%A5%F3%A5%C8 、「ファンタスティック・フォー」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13539692.html に出演していますが、今作は久しぶりに彼の良い面が見れる作品です。
そしてケビン・ルーニー役でアーロン・エッカート、「ハドソン川の軌跡」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14458933.html 「エンド・オブ・キングダム」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14178270.html に出演しています。 今回は、トレーナー役という彼にしては珍しく泥臭い役でしたね。
物語は首の骨折から再起する、本当にボクサーとしては奇跡の物語。 彼が再起に向けて取ったハローという一連の脊髄固定方法は、古くからある方法ですが、一歩間違うと起き上がることができなくなるハイリスクの方法でした。
もちろん事実の映画化なんで再起に成功するんですが、本人の執念と、家族、そしてケビンとが一体になって起こした奇跡の物語ですね。
これはなかなか面白い話でした。
軽量をパスするビニー
しかしメイウエザーに敗れ彼の元に
そして2階級上のチャンピオンに
しかし事故に遭い首を骨折
そしてそこから再起を目指す