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ギヴァー 記憶を注ぐ者


近未来、人々は新しい社会を作り上げることに成功。 ここでは誰も過去の記憶を持たず、完全に平等で、争いもなく、“恐れ” や “苦痛” “憎悪” はもはや死語と化し、人々の記憶から消し去られていた。
そこは徹底した管理社会であり、職業等は全て長老委員会が決定し、人々は投薬によって感情や感覚を抑制されて生きていた。 子供たちはある年齢になると、委員会が決めた仕事に就く。 その発表は主席長老(メリル・ストリープ)が行うが、今回はグラフィックでの登場だった。
次々に名前が呼ばれ仕事が割り当てられていく。 そんな中、このコミュニティで育ったジョナス(ブレントン・スウェイツ)は、「レシーヴァー(記憶を受け継ぐ者)」 という大役に任命される。 レシーヴァーは特殊な仕事、他の人々とは違った特権を持たされている。
そして彼は 「記憶を注ぐ者=ギヴァー)」 (ジェフ・ブリッジス) というすべてのコミュニティの記憶を保持する唯一の人物のもとを訪ねるのだった。 自分の前では形ばかりの謝罪は必要ない、いきなりそう言われたジョナスは戸惑うのだったが、彼の腕には自分と同じような痣があった。 これがレシーヴァーの印なのだった。
腕を取り、彼がジョナスの頭の中に “記憶” を流し込む。 彼が初めて見たのは、雪でソリに乗る姿だった。 そしてその行きついた先にはロッジがあり、中に数人の笑顔の人たちがいた。
その姿自体ジョナスが初めて見る光景だが、その後毎日ギヴァーのもとに通い、記憶をどんどん注入されていくが、毎朝の投薬を彼はしなくなり始める。 と同時に今までなかった感情も芽生え始めるが、“家族” との違和感も感じ始めていく。
幼いころから仲の良かった、アッシャー(キャメロン・モナハン)に対するLOVEの感情を感じ始めるが、彼女はびっくりするだけだった。
しかしレシーヴァー候補は過去にもある女性がいた。 彼女はローズマリーテイラー・スウィフト)といったが、彼女はある日を境にギヴァーのもとから離れて行った。
それはある記憶を授けられたからだった…

完全平等の世界、人間の究極の姿という感じでこの作品では画かれていますが、はたしてそれが本当の幸せか? 大きな問題提起をする作品ですね。
監督はフィリップ・ノイス、「ソルト」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/10064687.html はアクションのキレのいい作品でしたが、うって変わった近未来のSFでした。
主演はブレントン・スウェイツ、「キング・オブ・エジプト」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14413859.html では泥棒で主演でしたが、今作は大きな役目を担う若者でした。
完全に平等な世界、そのためには過去の人間としての記憶を遮断することが一番。そしてすべてにおいて管理された世界を作り、赤ん坊はすべて体外受精か、感情は薬によってコントロールされ、SEXも無し、個人的な恋愛感情などわからないようにされているんですね。 でも友情はあるような。
そして疑似家族がいるんですね。 血のつながりのない家族、そこに新しい赤ん坊が送られてきます。 一見大事に可愛がるのですが、一定以下の成長をしない赤ん坊は、“解放” という処置が取られます。 そう生きることから解放されるという意味で、同じことが老人にも行われます。
まあ尊厳死であり間引きですね。 でもそれを悲しむ、恐れるという感情を持ち合わせていないんで、当然として人々は受け入れていくんですね。
これは人間らしさとは何かを、見ている側に迫ってくるお話でした。 人間とは醜く野蛮なものである半面、だからこその反対に極上の幸福感を味わう事も出来ます。 殺し合いもするし、思い切り愛を高めることもできる、ギヴァーは実は根底にその人間らしさを取り戻すべく、考えているんですね。
なかなか深くて面白い作品でした。

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彼女が各若者に方向性を与えていく

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4人家族、でも血のつながりはない疑似家族

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友情は感じることができるが

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そしてジョナスはレシーヴァーとなる

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ギヴァーから多くを受け取りながら…

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彼はあることを知ってしまい…

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