anttiorbの映画、映像の世界

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未来よ こんにちは

2016年作品、ミア・ハンセン=ラヴ監督、イザベル・ユペール主演。

パリの高校で哲学の教鞭をとるナタリー(イザベル・ユペール)、その夫も同じく哲学教師を勤めるハインツ(アンドレ・マルコン)。
2人の子どもを連れてブルターニュに家族旅行した際に、サン・マロ沖のグラン・ベ島に埋葬された文学者シャトーブリアンの墓を訪ねる。 その碑には
「偉大なフランス人作家がここに葬られることを望んだ。 海と風の音だけを聞くために。 彼の遺言に敬意ともに過ごしましょう」
シャトーブリアンの墓前でナタリーとハインツは穏やかなに佇む。 2人は仲の良い夫婦であると同時に同志のような関係だった。
しかし、そんなことにおかまいなしの子どもたちとって、面白くもないので飽きてしまい早く帰ろうと促すのだった。
それから数年が経ち、やがて、そんな子どもたちも独立。 ナタリーはパリ市内で一人暮らしの母・イヴェット(エディーット・スコブ)の介護に追われている。 彼女の母は体調の異変を訴えるのに、夜中の時間でもおかまいなしにすぐに電話で掛けて来ることもあり、それが寂しさゆえの演技であっても母の元に伺わなければならない。そんな義母のことを夫は鬱陶しく思っていた。
そんな慌ただしい日常でも、ナタリーにとって、電車内で哲学書を読む時間が何よりの癒しの時間だったが、ナタリーの勤める高校では、「若者の失業を増やす改悪」 反対ストに学生たちは揺れていた。 かつては五月革命学生運動にのめり込んでいた彼女だが、今ではストを起こす学生たちに揶揄される。
授業をさせないために中に入れさせない学生たちに、授業をする権利を主張し強引に学校に入るナタリー。 さらに学校に入れない真面目な生徒の助けをしてあげるのだった。
その日の授業の課題は “革命の生みの親” ルソーで、「自分で考えること」 をテーマに生徒を指導します。
かつて、ナタリーの教え子で、そんな授業で哲学の面白さを知り、教師になったファビアン(ロマン・コリンカ)が訪ねてきた。 彼は才能がありナタリー監修で哲学書をだすほどのナタリーには自慢の教え子だった。
ファビアンと久しぶりに会ったナタリーは、彼が教師を辞めて、執筆活動をしながらアナーキストの仲間たちと住み活動をしていることを聞かされる。 そんなファビアンがナタリーの自宅に訪ねて来ると、夫ハインツは 「全知全能のインテリタイプ」 と言い捨て気に入らない様子なのだった。 ナタリーは 「ヤキモチ?」 と夫ハインツをからかうのだが。
一方で母イヴェットの認知症の症状を見せはじめていた。 イヴェットの自宅には若い頃のモデルをしていた写真が飾られ、彼女は自身の加齢による老いを受け入れられない。
一方娘のクロエ(サラ・ル・ピカール)は父の異変を感じ取っていた。 そしてそれをいつまで隠しているのか? と迫るのだった。 ナタリーの人生に大きな嵐が巻き起こるのだった…

イザベル・ユベール主演作、彼女の魅力がたっぷり味わえる作品ですね。
監督はミア・ハンセン=ラヴ、私は初鑑賞の若き女性監督、女優業よりも作る方に傾斜してきていて、脚本も兼ねています。 主人公のナタリーが哲学の教師という事で、気になって調べると、彼女の父親が哲学者なんですね。 そしてなんと母親も。特にだからといってカントやルソーを知っていないと見れない作品ではありませんが、知っていればもっと深みを味わえるのかもしれません。
主人公のナタリーにイザベル・ユペール、「母の残像」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14592912.html 「アスファルト」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14403302.html と昨年から出演作が公開されていますが、ハネケ監督の 「ピアニスト」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12880101.html の衝撃が凄いですね。 今年はもう1本彼女の主演作が公開予定、それも楽しみにしています。
物語は、哲学の教師の彼女の人生の変わり目の話ですね。 この後夫から衝撃的な告白を受け、さらに母親の急速な変化に翻弄されていくナタリー、そして時代も急激に変わって行くんですね。
哲学者であり、教師である彼女は、やはり厳格なところがあり、なかなか時代に順応できない。 それは彼女の著作本の売れ行きもどんどん悪くなっていきます。
出版社から、表装を変える提案も蹴ってしまい、そして出版機会も失って行きます。
地味な作品で、哲学的な表現、引用もある作品ですが、女優としてのユベールを堪能できる作品でした。

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お互い哲学者の二人

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学校は反対ストで揺れていた

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母にも翻弄される

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彼女の自慢の教え子のファビアン

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しかし夫から離婚を切り出される

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