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ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件…そして

2013年作品、伊東めぐみ監督、高遠菜穂子今井紀明出演。

2004年、イラクへ支援のため行った日本人3人が、日本政府へ自衛隊撤退を要求するための人質として、ファルージャで地元の武装グループに拘束された。
日本国内では3人の軽卒な行為が国に迷惑をかけたとして “自己責任” を問われ、同時に事件と関係のない誹謗、中傷も行われた。
あれからおよそ10年。 高遠菜穂子さんは、事件後のPTSDを乗り越え、再びイラク支援を続けていた。 イラクでの先天異常児は戦争以後、今も増え続けているのが実情。 また撮影中のファルージャでは、親米的な政府と対立する宗派の抗争も発生していた。そ こには、まだ平和とは言い難いイラクの現実があった。
一方、人質事件のもう1人の当事者、今井紀明さんは、高遠さんと同じくPTSDに悩まされ、5 年もの間、 対人恐怖症に苦しんだ。 現在は大阪で、不登校や引きこもりなどの若者を支援するNPOの代表をしている。 社会から拒否された存在に、昔の自分を見て何かできないかと思ったという。
それぞれにとってあの戦争、あの事件が引き起こした問題はまだ片付いていない・・・

日本人が人質になった事件は、もうイラクがクエートに攻め込んだ湾岸戦争時に、当時イラクにいた在留邦人とそこ家族が拘束されたことが、近年の中東紛争での最初の人質事件だったと記憶しています。
その辺りは私がアメブロで簡単に、猪木議員の項目 http://ameblo.jp/atts1964/entry-12229626029.html で触れています。
しかし湾岸戦争が終わった後、2003年にアメリカを中心にした有志連合が、イラク大量破壊兵器があることを前提に起こした戦争、通称イラク戦争の際に起こった事件を元にこのドキュメンタリー映画は作られています。
監督は伊東めぐみ、2004年当時、高校生だった彼女は現在、テレビ番組制作会社でADとして働く28歳。 10年前初めて社会に対し何かしたいと思い、高校生ながらデモに参加したという事でした。 もちろんイラクに行くほどではなかったんですが、実際に行った中で3人の日本人が現地で拘束され、人質になりました。
当時の首相は小泉純一郎、いち早くアメリカ支持を打ち出し、そこから起こった人質事件だということは明白でしたね。 しかし問題は無事解放された後の、日本国内で怒った痛烈な3人に対するバッシングでした。
“自己責任” いつしかこういう言葉がどんどん国民に染み込んで行きましたね。 この時人質になったのは今作品で登場する高遠菜穂子さんと、今井紀明さん。もうひと方は今作品には登場しませんので名前は書かないでおきます。
ボランティアだったり、ジャーナリストという立場で、実際の紛争地域に入って行く方たちは、ある意味覚悟を持って行かれるとは思いますが、全員が拘束されるわけではありません。 しかし不幸にも拘束された、特にイラク戦争で最初の事件での3人に対して、国民感情は過激に反応しました。
もちろん大多数ではないんですが、大声を上げた人間は、この自己責任という、悪感情ですね。 帰国後、3人に対するバッシングは激しいものだったそうです。 特に高遠さんは死ぬことまで考えたくらいでPTSDになってしまったほどでした。
いまでは、政府は危険地域は紛争地域には、警戒レベルをわかりやすく公開していますし、各企業等は、自主的に危ない国は渡航禁止を支持しています。
しかし一方各作品では、「じゃあ一体今の現状を誰が伝えるのか?」 という見方もありますし 「誰が被害に遭った民間人を救うのか?」 という問題を描いているものも多いですね。
これは難しい問題で、ここに国民性の違い、イスラム勢力の反米意識、宗教観、どんどん過激になっていく日本の姿勢、そういう事が入り混じった現実がうかがえます。
しかし実際に当時使われた劣化ウラン弾、その後遺症で今も障害を持った赤ん坊が生まれ、その映像も生々しいです。 今回高遠さんは、日本から医師を同行して現地に入っています。
戦争はまだ終わっていませんし、ISの台頭で事態はもっと混迷しているように感じます。
大量破壊兵器はなかった」 この一言でブッシュも終わらせましたが、当時アメリカを支持した政治家は全くコメントを発さないのはいかがな物か?!

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今も単独で活動をしている高遠さん

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NPOの代表をしている今井さん

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やはり反米感情が強い現地

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障害を持って生まれ手術をした子供

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そして重い障害を持って生まれてくる子供

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