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提報者 ~ES細胞捏造事件~

2014年作品、イム・スルレ監督、パク・ヘイル主演。

世界で初めてヒトのES細胞抽出に成功したというイ教授(イ・ギョンヨン)の発表に沸き立つ韓国。
放送局のプロデューサーであるミンチョル(パク・ヘイル)はいつものように誰かの情報提供をもらって取材に行っていた。 取材に行ったところはある家で、ある男性が何日か前にある手術を受けてから元気だった妻がいきなり亡くなったという事だった。
ミンチョルは取材をするほどの話題ではないと思って最初あまり興味を持たずそのまま帰ろうとするが、その手術が卵巣を売る手術だったという話を聞いて何か直感的に何かを感じたミンチョルだった。
男の妻が死ぬ前に行ったという病院で張り込んでいたところ、色々な女性たちが病院に行ったり来たりすることを見て後を付いて行ったとき、あるメディカルセンターに行き着いたのだった。 そのメディカルセンターは世界最初の胚性幹細胞を作ったというイ・ジャンファン博士(イ・ギョンヨン)の研究所だった。
ミンチョルは先輩にその話をするが、先輩からは取材をすぐやめたほうがいいと言われる。 でも、ちょうどその時、ある人物から情報を提供したいという電話をもらうのだった。
提供者はジャンファンの研究所でチーム長として働いていたミノ(ユ・ヨンソク)だった。 ミノは証拠は一つもないけど、世間に発表された11個の幹細胞は存在しないと話している。 ミンチョルは証拠がないんだったらインタビューでもしてほしいとミノに頼むのだが、まだ働いている妻・キム・ミヒョン(リュ・ヒョンギョン)と病気の娘・シム・スビン(キム・スアン)がジャンファンに世話をしてもらっているからできないと断るのだった。
ミンチョルは仕方なく毎日寝ずに色々な方面から調査することになる。 でも、ジャンファンは放送局関係者などとつながっていて中々取材が進まないのだった。
結局ミノはインタビューを受けることを決心して妻に離婚書類を準備して放送局に向かうのだった…

日本でも、同種の事件がありましたね。 韓国でも2005年末に発覚したヒト胚性幹細胞捏造事件にあったようで、「韓国の誇り」 から一転転げ落ちた事件ですね。 実際の教授はソウル大学黄禹錫(ファン・ウソク)という人物だったそうです。
ある程度忠実な映画化なんでしょうか、なかなか細部にわたって取材チームの葛藤が描かれていますし、イ教授の周到な隠ぺい工作、情に訴え、各財界、人脈に根回しをし、そして告発者の心理も読むなかなかの策略家なんですね。
取材している側が一点悪玉にされる、よくあることですが、粘り強さと、真実を突き止めたいポリシーが無いと、結局うやむやになるという事はこの手の事件では多いようです。
しかし医療にまつわる、捏造はそれではすみませんね。 実際に病に苦しんでいる患者がいるという背景を思うと、新しい技術がもし嘘だったら、すべての希望がついえてしまうから。 実験に使われた犬の憐れな姿、本当の意味で発見され、確立した治療法までもって行くのは、そんなに簡単な道のりではないとともに、諦められていた難病が治癒できる技術は絶えず求められてもいるんですから。
良心ある学者において、新しい発見が生まれることを祈りたくなる作品でした。

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ミンチョルはある事件に遭遇する

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世界最初の胚性幹細胞を作ったというイ・ジャンファン博士

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しかし幹細胞はないという告発が

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しかしそれを否定するイ博士

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真実が遠くなっていく中

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ミンチョルは突き進んでいく

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