びっくりするとともに、それを見かねた息子のブーリー(ダン・エイクロイド)は彼女に対して運転手を雇うように薦めるが、デイジーは聞く耳を持たない。 しかしこのままではいつか大事故につながると思ったブーリーは、運転手を探し始め、自分の会社で働いていた初老の黒人の男・ホーク・コバーン(モーガン・フリーマン)を見つけるのだった。 母の相手をするには、神経の図太い男でないと続かない。 ブーリーはちょっと話して彼が適役だと思った。
しかし、デイジーの態度は半端ではなかった。 まったく彼を相手にしないどころか、露骨な嫌悪感を抱かせる。 そしてまったく車に乗ろうともしなくなった。
この家には古くからメイドとして働いている黒人のアデラ (エスター・ローレ)がいた。デイジーは人種差別をしているわけではないが、やはり黒人を一段下、卑しい存在として見ているようだった。 それ以上に人見知りで、他人を信用しない性格でもあり、まったくホークに心を開かなかった。
しかしどうしても買い物に行かなくてはならなくなり、彼女は電車とバスを使っていくと言い出す。 初めは意固地にホークを拒絶していたデイジーだったが、ホークがそろそろと車で走りデイジーを乗るようにと誘うと、根負けしてついにホークが運転する車に乗り込むデイジーだった。 彼女がホークを嫌がっていたのは、自分が嫌味な成金であると周囲に思われるのを危惧していたからだった。
ある日、ある物を見つけた時、デイジーはすぐにブーリーを朝早く呼んだ。 何事かと思ったブーリーが行ってみると、ホークが盗みをしたと言うのだった。
それは、鮭缶が1個無くなっていて食べ終わったからの感を見つけたというのだった。 勝手に盗んで食べた、だから黒人は卑しい、彼女はそうブーリーに言ったとき、ホークとアデラは出勤してきた。
そしてホークは「 鮭缶を1個頂きました。 古くなっていたので味が変わる前に食べておこうかと思い、その分1個買ってきました。」 そんな誠実な対応にデイジーはホークを信じるようにどんどんなっていくのだった。
ホークの真面目な仕事振りと正直な人柄に感銘を受けたデイジーは、やがて何処へ行くにもホークの運転する車に乗ることに なるのだった…
監督はブルース・ベレスフォード、私は初鑑賞監督でした。 主演のミス・デイジーはジェシタ・タンディ、「ニューヨーク東8番街の奇跡」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/3727005.html でも老夫婦の妻役をしていましたが、あちらの作品ではちょっと痴呆気味の役、こちらではバリバリの頑固なおばあさんです。
息子役にはダン・エイクロイド、コメディ的な役が多い中、今作では手のかかる母親に苦労する生真面目な息子役、意外にこれが良かった。
そしてなんと言ってもモーガン・フリーマンですね。 今作では時代設定もあり、黒人の差別の激しい時代であり、それだけでなくユダヤ人に対しても結構白眼視をしていた土地柄というのもあるんですね。
しかし、めったなことでへこたれないホーク、エスプリに効いたジョークで彼に反撃して言い返すキャラは彼ならではないでしょうか。
どんどん心を開いて行くデイジーですが、ところどころ彼女が初めて知る現実に直面します。 宗教観、そして露骨な黒人蔑視の社会、でも誠実で、おおらかで、仕事に忠実なホークのことがいつしか一番の頼りとなっていくんですね。
このラストが実に良い、老人ホームに入り、家も売りに出された彼女のところに同じく歳をとったブーリーとホークが感謝祭の時に訪ねていくんですね。 そしてブーリーをアッチに行けと追い払い、束の間の二人に時間を持とうとするデイジー、ここが何とも可愛いおばあちゃんで、全然ぼけていない。 このシーンでほっこりするとともにじわーと泣けてくるところでした。
この5年後にジェシカ・タンディは亡くなるんですが、その後も数本出演しているんですね。 素晴らしい名演でした。