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古都

2016年作品、Yuki Saito監督、松雪泰子主演。

今朝もいつものように店の前に水をまき、夫の竜助(伊原剛志)に丁寧にお茶を淹れ、仏壇に手を合わせる佐田千重子(松雪泰子)。 京都室町に先祖代々続く佐田呉服店を継いで20年、同じ暮らしを守り続けてきた。 しかし、周囲は変わりつつあった。 西陣を歩いても機の音が聞こえなくなり、古くからの付き合いの職人たちが次々と廃業していく。
千重子の一人娘で大学生の舞(橋本愛)は、一流商社の二次面接を控えていた。 就活がうまくいかない友人たちから 「最後は家を継ぐんやろ?」 と聞かれて、言葉を濁す舞。 本当は何をしたいのか、見つけられないでいるのだ。
千重子には、生き別れになった双子の妹がいた。 彼女の名は中田苗子(松雪泰子/二役)、京都のはずれの北山杉の里で夫と林業を営んでいる。 一人娘の結衣(成海璃子)は、絵画を勉強するためパリに留学していたが、やはり本当は何を描きたいのかを見失い、悩める日々を送っていた。
竜助と千重子は、舞に広い世界で社会を学ばせた後、店を継いでもらおうと考えていた。 そのため、町家を売ってマンションにしないかという不動産会社の誘いも断ってきた。 だが、経営は思わしくなく、外国人観光客相手の町家ツアーを企画したり、竜助の実家で今は多角経営を進める大問屋を手伝ったりしている。
舞と養母の墓に参り、ふと舞と同じ年の頃の自分を思い出す千重子。 実の子供ではない自分を温かく育ててくれた両親が喜ぶことだけを望み、店を継ぐのは当然のことと思っていたが、それだけではない。
「この町で育ったいうことは、宿命みたいなもんがある気がしてな」 と語る母に、舞は顔を曇らせるのだった・・・

監督はYuki Saito、私は初鑑賞の監督です。 原作は川端康成、1961年から62年までに連載された作品。 もちろん今作は現代合わせた作りにしていますし、多少設定、ニュアンスも変わっているようですね。
主演は二役で松雪泰子。 どうして二役なのかということは原作の設定を取り入れしっかりとした作りになっていますが、その葛藤が実はあるんですが、そこは彼女が若いころを、双子の女優さん・蒼れいな、あんなが演じています。
また千恵子の娘・舞役には橋本愛、つい先日にも 「バースデーカード」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14514513.html でも好演、そして苗子の娘・結衣には成海璃子、彼女は 「無伴奏」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14309071.html で、体当たりの演技を見せています。
物語は老舗の店を守ろうとする母と娘の葛藤、母にしっかりとした生い立ちと歴史はあるんですが、なかなかそれは娘には理解しづらいことですね。 それは父と息子でも一緒ですし、どこかでしっかりお互いの意思を確認する作業が必要、でもその瞬間を作り出すのがなかなか難しさがあるんですね。
一方、苗子の娘も単身フランスで留学中、母の苗子が何かを感じ、ふらっと娘に遭いにいくところは、やっぱり母親ですね。 離れていても娘のピンチがよくわかっている、そんな母の姿の二つが色濃く描かれていました。
京都の素晴らしさと、時代とどう折り合いをつけていくのか、そういう面も作品では語られており、日本人として何を残し、何を変えていくのか? 変えてはいけないものは何なのか? この作品を見てそんなことを考えていました。

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時代の流れを感じる千恵子

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一人娘の舞と

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生き別れの妹・苗子

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彼女にも娘がいた

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千恵子を支える夫の竜助

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