anttiorbの映画、映像の世界

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湯を沸かすほどの熱い愛

2016年作品、中野量太監督、宮沢りえ主演。

銭湯・幸の湯は長期のお休みに入っている。 張り紙には 「湯気のごとくを、店主が蒸発しました。当分の間、お湯は沸きません」 と書いてあった。
1年前、父・一浩(オダギリ ジョー)がふらっと出奔してから、母・双葉(宮沢りえ)は持ち前の明るさと強さで、パートをしながら娘・安澄(杉咲花)を育てている。 安澄はなかなか学校に行きたがらなかった。 それは彼女は3人の女子生徒にいじめられていたからだった。
彼女は絵がとても上手かったが、それを妬まれ、体中絵具まみれにされてしまう。 双葉は呼び出しを受け保健室に行くが、安澄は決していじめられているとは言わない。 しかし、双葉は決して彼女を休ませることはしなかった。 「明日も学校に行こうね」 と優しく、そして強く言うのだった。
ある日、双葉がパート先のパン屋で突然倒れてしまう。 そして彼女はすい臓がんで、それが全身に転移しており、ステージ4だと、余命わずかという宣告を受ける。
一人誰もいない空の銭湯の浴槽で、泣き崩れる双葉。 そんなことは知らず母の帰りを待っている安澄だった。
「お腹がすいた」 と携帯に連絡が入り、双葉は決心をする。 生きているうちに自分にはやらなければいけない事があるということ。
それから双葉がまずはじめにやったことは、探偵に頼み、家出した夫を探すことだった。 子連れの探偵・滝本( 駿河太郎)はあっという間に探し出し、一浩を連れ帰り家業の銭湯を再開させる。 
しかし彼は他の女が生んだ娘・片瀬 鮎子(伊東蒼)と一緒だった。 もちろん彼女も引き取り、4人での生活が始まるのだった。 そして銭湯の仕事を手伝わない物はこの家に置かないと宣言する双葉だった。
鮎子はまじめに働き、掃除も、再開のチラシ配りも率先してやった。 しかし、気が優しすぎる安澄に対するいじめはエスカレートしていくのだった。 果して、双葉は全部やり遂げることができるのだろうか? そして彼女がどうしてもやらなければならないことはあと何があるのか?…

これも心がきつい作品でしたね。 でもまず第一にお思うのは、宮沢りえがこういう“おっかさん” 役をやるようになったんだ、という事ですね。
アイドルとしてデビューし、そして幾多の恋愛、結婚を経て、女優として成長してきていますが、彼女が女優として一皮むけたと思った作品は山田洋二監督の 「たそがれ清兵衛」でした。 こんな演技ができるんだと感心したもんです。
「紙の月」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12394196.html では、人生落ちていく女性を演じて評価を受けましたが、今作はまた違った女性像を見せてくれました。
監督は商業長編作品初となる中野量太。 彼の小品を見ていて、「琥珀色のキラキラ」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13021403.html は結構良かったし、今までのところの代表作の 「チチを撮りに」 を見たいと思っていました。
物語で、彼女の病気のことを知っているのは医者と一浩だけなんですね。 そして彼女自身も親を知らないで育っているんですね。
この作品はいろんなところに伏線が張られています。 安澄が手話ができるところ、タカアシガ二のお礼を彼女が書くところ、そして最後病室で安澄が言う言葉。
それぞれ重要な展開の伏線になっていて、あとからああそういう事か! とわかる展開になっているんですね。
しかしラストのあの決着はちょっと驚きました。 人によっては感動がふっ飛ぶところかもしれませんが、解釈によってはそうかもなあと思いました。 私にはできませんねえ(^^)

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安澄は苛められていた

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家出した一浩が戻ってくる

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そして銭湯を再開する

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そして3人であるところに向かう

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ヒッチハイカーの拓海と出会う

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拓海の素性を知り励ます双葉

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