八王子の閑静な住宅地で、惨たらしく殺された夫婦の遺体が見つかる。 室内には、被害者の血で書かれたと思われる『怒』の文字が残されていた。 犯人逮捕に結びつく有力な情報が得られないまま、事件から1年が経ってしまう。
洋平の所には田代（松山ケンイチ）という男が働いていた。 愛子は漁港で働き始めた田代と親密になっていき、洋平に彼と一緒に住みたいと告げる。 しかしその直前に愛子のために田代に正社員登用を勧めて断られていた洋平の胸の内は複雑だった。
東京にある大手広告代理店に勤める優馬（妻夫木聡）は、ゲイの集まるパーティーで、同じゲイ仲間と遊んでいた。 しかし彼はそのあと誘われるが、仕事が残っているといって帰ってしまう。 優馬は末期ガンを患う母・貴子（原日出子）がいるのだった。 彼女が入院しているホスピスに行く優馬。
そしてゲイとの出会いの館で知り合った直人（綾野剛）と親密になり、住所不定の彼を家に招き入れる。 はじめは夜だけ泊まることを許していたが、昼も行くところがない直人を、ずっと住まわすことにする。 直人は優馬の母や友人とも親しくなっていく。
母と沖縄に引っ越してきた泉（広瀬すず）は、同い年の辰哉（佐久本宝）に離島に連れて行ってもらう。 ひとりで島を散策中、一人でサバイバル生活をしている田中（森山未來）と出会う。 泉は気兼ねなく話せる田中にだんだん心を開いていく。
ある日、辰哉と訪れた那覇で偶然田中の姿を見つける。 そこで３人で食事をしたあと、辰哉が酔っ払ってしまう。 目を離したとき辰哉はふらふらどこかへ言ってしまい、泉は必死に彼を探し始めるが、そのとき不良米兵に泉は襲われてしまう。
彼女がショックを受け立ち直れないのも自分のせいだと自責の念にかられる辰哉は、田中に悩みを打ち明ける。 自分は味方だとの田中の言葉に救われる辰哉だった。
田代、直人、田中、素性の知れない３人の男たち、そして八王子の犯人は整形をして逃亡していることが警察の調べで判明するのだった・・・
長らく予告編が流れていたこの作品、豪華なキャストですね。 上記のキャスト以外に警察側にはピエール滝、三浦貴大、そして高畑充希、池脇千鶴も出演しています。 監督は李相日、前作は「許されざる者」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/10241025.html でしたが、「悪人」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/1627568.html も衝撃作でしたね。
物語は時を同じくして現われた３人の素性の知れない男、そしてその男たちとかかわった人間たちのドラマですね。 冒頭の殺人事件がとにかく残酷なんですね。 家の中は血の海、それだけでなく、男の血で大きく書かれた “怒” の文字。 犯人はいったい何に怒っているのか？
後半犯人の心情を聞いた男が現われるまで、３人誰もがそれぞれ闇を抱えた男たちなんで、誰が犯人なのかと言う、推理ドラマかもしれませんね。 さらに男たちに絡んでくる人間もまた心に大きな穴が開いている人間たちでした。
誰の穴が埋まるのか？ またさらに大きな穴が開いてしまうのか？ それぞれの人間ドラマが見える重い作品でした。
