2015年作品、ジェイ・ローチ監督、ブライアン・クランストン主演。
第二次世界大戦中、アメリカとソ連は同盟を組んで戦った。 そして共産主義と手を握ったアメリカの中で、多くの国民がその共産主義に触れ、共産党に入党し、共産主義を主張していった。 しかし戦後、冷戦が起こり、ソ連は敵国となり、アメリカは共産主義排斥活動 “赤狩り” が猛威を振るうようになっていった。
売れっ子脚本家ダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)は、自ら書いた脚本の製作にも顔を出していた。 俳優のエドワード・G・ロビンソン(マイケル・スタールバーグ)は、脚本家が撮影にいることに、安心感を持って演技ができていた。 そして彼もトランボの同士だった。
トラ ンボは、共産党に入党していた。 そして俳優たちの待遇改善のため、デモを行ったり、アジ演説をしていた。 脚本仲間のイアン・マクレラン・ハンター(アラン・テュディック)や、 アーレン・ハード(ルイ・C・K)も彼と行動を共にしていた。
しかし、下院非米活動委員会は共産主義者に対し、強硬な措置を取るよう議会に圧力をかける強行な団体であり、コラムニストのヘッダ・ホッパー(ヘレン・ミレン)はその急先鋒だった。 彼女のコラムには多くのファンがいて、時にはMGMの首脳・ルイス・B・メイヤー(リチャード・ポートナウ)にも、脅しに似た圧力をかけるほどだった。
当時のハリウッドにはジョン・ウェイン(デヴィッド・ジェームズ・エリオット)らを筆頭に「アメリカの理想を守る映画連盟」 という組織が設立され、非米活動委員会への協力が推進されていた。 そして第1回聴聞会に出席したトランボは、「あなたは共産主義者か、あるいは、かつてそうであったか?」 と問われたが、アメリカ合衆国憲法修正一条(言論と集会の自由を規定した条項)を理由に証言を拒んだ。
その結果、議会侮辱罪に問われ裁判を行う事になってしまう。 資金的な面が心配されたが、最高裁まで行けばリベラル派が多く勝てると踏み、彼は裁判を闘うが、直前にリベラれ派の判事が数人死去してしまい、彼は投獄されてしまうのだった・・・
先日記事に書いた 「ローマの休日」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14291817.html は実は長い事伏せられていましたが彼の脚本、原作なんですね。 この作品中にも有名な “真実の口” のシーンが入っていました。
また私が見た作品中彼が携わった作品は、「ジョニーは戦場へ行った」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13938538.html は、彼が監督として取った唯一の作品となっています。 強烈な反戦映画でしたね。
物語は彼が、服役、出所、そしてブラックリストから見事復活するまでの生涯を追っています。
そして実際の生前の彼のインタビューシーンも、エンドクレジットで流れてくるんですね。 いまでこそ、表現の自由や、言論の自由はある程度許容されている時代だと思いますが(まあ完全と言えるかはさておいて)、当時は冷戦がはじまり、共産国家が敵国となっている時代、時代的に仕方がないとも言えますね。
もちろん彼も服役される前には映画会社から解雇されてしまいますし、まだ売れっ子脚本家の彼はそれでも覆面でヒットを飛ばしていましたが、金に困る仲間、魂を売り渡すものも出てきます。 でも生きていくうえで仕方がない話でもありました。
今作品では、ヘレン・ミレンの悪玉がまた凄い(^^)そして、B級映画製作会社の社長・フランク・キング役のジョン・グッドマンが最高でしたね。 彼は先日公開の「10 クローバーフィールド・レーン」http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14228636.html でもいい役で出ていました。
あとはしっかりものの妻で、ダイアン・レインが出演。 すっかり母親役が似合っていました。 でも綺麗でした。
監督はジェイ・ローチ、先日、日本未公開の 「俺たちスーパー・ポリティシャン めざせ下院議員!」 を見ましたが、なかなか面白かった作品を撮っています。
今は、本当に映画を見るのも作るのも、ある意味良い時代かもしれません。
しかし、こんな窮屈な辛い時代があったことを刻み付ける貴重な自伝作品ですね。