2013年作品、アンドリュー・ニコル監督、シアーシャ・ローナン主演。
メラニー(シアーシャ・ローナン)は、追われていた。 一緒に行動していた最愛の弟・ジェイミー(チャンドラー・カンタベリー)を隠し、「必ず戻る」 と言い残した彼女だったが、数人に囲まれ階上から転落して気を失い、連れて行かれてしまった。
人類は、ソウルという知的生命体が地球へ来襲してきてから、次々と寄生されてしまい、今は絶滅に危機に瀕していた。 父・ジェブ・ストライダー(ウィリアム・ハート)、母・マギー・ストライダー(フランシス・フィッシャー)と4人暮らしだったメラニーだが、生き残ったのは二人の姉弟だけだった。 メラニーはレジスタンスの組織に入り行動していたが、その行動中につかまってしまったのだった。
連れ去られたメラニーは、首筋からワンダラー(放浪者)という名のソウルを寄生させられてしまう。 人間に入り込んで身体も意識も乗っ取るソウルを前に、彼女もまた犠牲になってしまったかに思われたのだが、実はメラニーの意識は眠らなかったのだった。
ワンダラーの指導をしてついているのは、シーカー(捜索者) (ダイアン・クルーガー)という女性だった。 乗っ取られると目の色が変化しすぐにわかる。 そして基本、嘘をつかないある意味清らかな生物に変化をする。 本来攻撃性を持たないが、シーカーはレジスタンスを追跡捕獲をするので、彼女だけは多少戦闘的な役割を担っている。
人間というものを理解できないソウルたちだったが、メラニーはワンダラーに必死に話しかける。 そしてメラニーの望みは、もう一度弟に会うこと。 そして恋人のイアンに会う事だった。 しかし肉体はもうワンダラーに支配されている。
必死にワンダラーにレジスタンスの手掛かりを与えないよう懇願するメラニーに、ワンダラーは今まで感じなかった何かを感じ始め、そしてとうとうメラニーの希望を叶えるため、辺境のレジスタンスの隠れ家に向かうのだった…
監督はアンドリュー・ニコル、初監督作品の「ガタカ」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/7648338.html は良かったですね。 それから注目され、新作がいつも話題になり期待されています。
「ロード・オブ・ウォー」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/11141555.html は武器商人の話で、「TIME/タイム」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/8014209.html は近未来SFで、時間=命という奇抜な作品でした。 実は最新作は未見なんでいずれそれも。
どうもこの作品は世間的な評価が低いようですが、私はこの作品は面白く、良い決着の形を見せた珍しい作品だったと思います。 監督作品は、なかなかすんなりいい形のエンディングが無いと思っているので、こういう決着自体がまず珍しいなあと思いました。
お話は、侵略もの。 それも兵器を使った侵略でなく、寄生して乗っ取っていくお話ですね。藤子・F・不二雄で 「流血鬼」 という一種バンパイア物のSF作品がありましたが、これに近い感じを受けましたね。
物語はこの後、一つの体に二人が宿った感じのメラニー とワンダラーが葛藤しながら共存をしていくんですが、ワンダラー自身も心境がどんどん変わっていきますし、人間の良さに気が付いて行きます。
こういう作品は、いかに人間が野蛮で不完全なのか、と言う視点で始まりますが、実はそこに人間ならではの良さが潜んでいる。 そんなことにエイリアンが気づき同化していくんですよね。
ただ、どちらかは死んでしまう、出て行ってしまうという結末が予想されますが、上手い展開にしていましたね。
シアーシャ・ローナンは美しいですね。 彼女は「ラブリーボーン」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/8999382.html という悲しい話の主役を演じていましたが、儚く思い悩む役をやらせるとぴったりですね。
私は情緒あるSFだと思いました。