anttiorbの映画、映像の世界

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愛を乞うひと

1998年作品、平山秀幸監督、原田美枝子主演。

どしゃぶりの雨の中、男はまだ小さい娘を連れて、家を出ていく。 それを必死に泣きながら罵る女。 男は陳文雄(中井貴一)といい、彼は台湾に向かうのだった。 彼の生まれ育った台湾に行くのだが、それは日本が戦争に敗れ、彼が日本人ではなくなることを意味していた。
しかし、文雄は体を壊してしまい、入院することになってしまう。 娘の陳豊子(小井沼愛)の事が気になっていた文雄は、友人の王東谷(小日向文世)夫婦に彼女を託すのだが、王家も子供が多くいる。 そしてほどなく彼女は施設に預けられていくのだった。
文雄の死後、施設に預けられていた照恵を迎えに来たのは、かつて父によって引き離された筈の母・豊子(原田美枝子)だった。 ホステスをしている豊子にバラックの家に連れていかれた照恵は、そこで新しい父・中島武人(モロ師岡)と弟・武則(前田弘)と引き合わされる。
やがて中島と別れた豊子は、ふたりの子供を連れて “引揚者定着所”   に住む和知三郎(國村隼)の部屋へ転がり込む。 和知は傷痍軍人をいつわり街角で施しを受けている男で、子供たちには優しかった。
時は流れ、早くに夫を亡くし、娘の深草野波麻帆)とふたり暮らしの山岡照恵(原田美枝子・2役)は、昭和29年に結核でこの世を去ったアッパー(父)・陳文雄の遺骨を探していた。 そんなある日、彼女の異父弟・武則(うじきつよし)が詐欺で捕まったという知らせが届く。 30年ぶりの弟との再会、親しげに昔の話をしてくる武則だったが、照恵の脳裡に蘇ってきたのは、幸せだとは言い難い幼い頃の母親との関係だった。
そして思い出したくない母との関係、豊子の照恵に対する折檻が、日増しにひどくなってゆくときの記憶が、まがまがしく思い出されてい くのだった。
父の遺骨探しの旅というのは彼女の過去の過酷な記憶の部分が蘇ってくることだった。 照枝は父の遺骨を探し出すことができるのだろうか?・・・

原作は、下田治美氏の小説、監督は平山秀幸、「エヴェレスト 神々の山嶺http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13981678.html 、「必死剣 鳥刺し」http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/2254405.html を過去作で見ています。
物語は、あるシチュエーションで出会った日本人の女性と、台湾人の男性の間に生まれた、女の子の物語。 終戦後引き裂かれた二人の間に、日本と台湾を行ったり来たりする少女、そして父が病で亡くなった後、今で言う虐待を受けながら育っていくちょっと見るのも辛い物語でした。
主演は、母、娘とも大人になった姿は、は原田美枝子が演じていますね。 これは迫真の?虐待シーンですね。 劇中彼女が娘をせっかんするシーンが多々あるんですが、それを見ていた少女・照恵の友達が失禁してしまうほどなんですね。
母・豊子はどうして彼女のことを虐待したのか? 彼女はどうやら体を売る商売を戦後間もない時にしていた感じですね。 またそのあと男をどんどん取り替えながら暮らしていく。 まあヒモを養っているという、ある意味男勝りの性格なのかもしれませんが。
どうして彼女に対して、長男の異父弟とは全く違う扱いをするのか? 本人はその心情を吐露しませんが、同性としての嫉妬、可愛さの裏返し、また過酷な時代での不満のはけ口、いろんな情念が渦巻いた上での行為に見えるんですね。
成長して働き始めた照恵でしたが、給料はすべて母が吸い上げて行きます、当然の事という顔をして。 そしていよいよ母のもとを逃げ出すところは、義弟が必死に母を押さえつけるんですね。 ここは今まで義姉が虐げられていた彼の最初であろう母画の抵抗シーンでした。 胸が締め 付けられるようでした。
それきり会っていないだろう母娘、しかし映画の最後のところで再会するんですね。何とも言えないシーンですが、大変ここも印象強いところでした。
幼児虐待という問題は、今始まったことではなく、昔からあったことでしょう。 でも血の通った親が子供をいかなる理由があろうとも、暴力をふるう。 もちろんその逆もあってはならない、美化はできない作品ですが、興味深くもありました。

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戦争が終わり台湾へ娘と帰る陳

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母に引き取られ、義弟と

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義父と3人で、募金を

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時は流れ娘と父の遺骨探し

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しかし、それはつらい思い出と向き合う事

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