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杉原千畝 スギハラチウネ

2015年作品、チェリン・グラック監督、唐沢寿明主演。

1934年。 語学力と情報網を武器に外交官・杉原千畝唐沢寿明)は、ソ連のスパイに狙われていた。 しかし、イリーナ(アグニエシュカ・グロホウスカ)という女性の協力によって難を逃れる。
彼はソ連北満州鉄道譲渡の交渉を有利にするために、ある情報を手に入れ、関東軍の協力を取り付けていた。 そして鉄道譲渡前にロシア製の機関車をひそかにソ連に走らせようとして、車庫を空にする計画を暴き、南川欽吾(塚本高史)率いる関東軍が登場、しかし南川は、ソ連側の兵、そしてイリーナ以外の協力者たちも殺してしまう。
千畝は、有利な条件で北満州鉄道を手に入れた功績を讃えられるが、彼はを警戒するソ連から『ペルソナ・ノン・グラータ(歓迎されざる人物)』に指定され入国拒否されてしまう。 千畝は在モスクワ大使館への赴任を希望していたのだった。
外務省の上司の関満一朗(滝藤賢一)からソ連行は無理と言われ、別の地での赴任を待つように言われる。
彼の夢は世界を変えること、久しぶりに日本に戻った千畝は友人の菊池静男(板尾創路)と飲み明かし、彼に家に泊まることになった。 そこで彼の妹・幸子(小雪)と出会うのだった。 彼は幸子に驚いた、そして嬉しくなった。 それは彼の名前を一発で“ちうね”と呼んでくれたからだった。
2人は付き合い始め、 そして結婚する。 そして彼の赴任地が決まった。 そこはリトアニアカウナスにある日本領事館での勤務を命じられるのだった。
1939年、彼は情報を収集し激動のヨーロッパ情勢を分析、日本に発信していく。 対象はソ連、ドイツとの同盟関係で、大国との連携に成功した日本の問題は、満州国を境にしたソ連との関係だった。 満州国は世界から認められていない国、その地の利権を日本はソ連と争っているのだった。
そこで働く職員を募集していたところ、彼に近づいてきた男がいた。 男の母国はポーランド、ドイツに占領され国家として機能を停止した国だった。千畝はペシュ(ボリス・スジック)という名のその男を運転手として雇い、新たな相棒としてリトアニアで諜報活動を開始するのだっ た。
しかし彼の不安は、ますます拡大して行くドイツだった。 そして彼はいずれ独ソの戦いになっていくと予想しているのだ。 彼はソ連でなく、ドイツにウエートをおいて調査をしていくのだった。
そしてそのドイツはユダヤ人の迫害を始めていて、ここリトアニアにも多くのユダヤ人が難民として入国しているのだった…

この作品は見たかった。 杉原千畝という人物は知っていましたし、前に短編の「ビザと美徳」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/10221919.html を見て記事に書きましたが、早く彼の生涯の作品を誰かつくってほしいと思っていました。
今回の監督は、チェリン・グラック、スタッフとして参加した作品では、「太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-」http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/5376688.html日輪の遺産http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/MYBLOG/yblog.html?fid=0&m=lc&sk=0&sv=%C6%FC%CE%D8%A4%CE%B0%E4%BB%BA とありますが、こういう戦争作品の中で、日本人の信念のある姿を描いた作品を手掛けています。
主演の杉原千畝には唐沢寿明。 英語もなかなか達者ですが、彼が命のビザ発給するまでの葛藤、そしてそれを内から支える雪子、小雪が演じています。 またドイツ系リトアニア人としての秘書のニシェリにミハウ・ジュラフスキが起用されています。
彼の立場は微妙なんですが、領事館員としての杉原でなく、一介の命の尊さを知っている人間としての千畝に触れ、彼自身も変わっていく姿も胸を撃つんですね。
杉原千畝の人生は、ハイライトとなるビザ発給のところしか知りませんでしたが、この作品は彼の人生の多くの部分が描かれており、エンドクレジットで貴重な写真も入っています。
よくこの作品を作ってくれましたし、これが見たかった。

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妻との出会い

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リトアニアで採用したペシュと

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ドイツがソ連との国境付近での実態を見せる千畝


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ビザを懇願する人たちに

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彼は決断する

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