anttiorbの映画、映像の世界

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チャイルド44 森に消えた子供たち


1930年代、貧しいロシアの中で、親のいない少年たちが多くいた。 孤児院で育った少年は、中で起こるいじめを見ているのに耐え見れず、1人ぬけ出して、革命軍に潜り込んではそこで食事を貰っていた。 彼はそこの軍人に気に入られて、“レオ”と名付けられた。
1945年、ベルリンに侵攻したソ連軍は、ナチスと激しい銃撃戦を展開した。レオ(トム・ハーディ)は友のヒョードルと共に果敢に戦うが、ワシーリー(ジョエル・キナマン)は怖がってうずまっているだけだった。
戦闘の末、ナチスドイツを打ち破り、ベルリンの地にソ連の赤い旗を打ち立てたのは、レオだった。 彼は一躍英雄となり顔がソ連全土に知れ渡るのだった。
1953年、レオはソビエト共産党の精鋭になっていた。 そしてある女性に一目ぼれしたのである。 それが妻となるライーサ(ジョエル・キナマン)だった。 なかば強引なプロポーズ、彼女は初め偽名を名乗っていたが、根負けしたようにレオの告白を受け入れた。
彼女は、教師をしていたが、ちょうどそのころアナトリー・ブロツキー (ジェイソン・クラーク)という男が、西側のスパイ容疑で、追われていた。 彼を一夜納屋で匿った親子の父と母は、残酷なワシーリーに銃殺され、幼い娘たちにも銃声を向けた時、レオはワシーりーを殴りつけ必死に止める。 子供に罪はないという考えからだったが、上司からは、不審な目で見られるのだった。
捕まったブロツキーは、巧みな取り調べで、協力者の名前を書かされる。 しかしその後彼はあっさりと銃殺される。
ある日、少年が線路わきで死体で見つかった。 しかしMGBは列車による事故死という見解を示した。 その少年の父親はヒョードルだった。 レオの上司は彼を呼び、検視結果を知らせるように言う。 しかしヒョードルは息子が殺されたと疑いを持っていた。
レオは彼の家に行くと家族は悲し身にくれていた。 レオが検視結果を述べると、彼の妻が息子は殺された、目撃者もいると言う。
動揺するレオだが、上司からソ連は楽園で、殺人事件など起こらないと言われていた。 彼自身も不審に思っているのだが、国の方針には逆らえない。
しかし、レオの身にもある事件が起こる。 妻のライーサがブロツキーの協力者という嫌疑がかけられるのだった。
はたして少年は殺されたのか? レオとライーサの運命は?・・・

137分の社会派の作品ですね。 原作は結構長いみたいですが、映画もそこそこの長さです。
実は、映画では“44”という死んだ少年たちの数が強調されていて、実は殺されたという事実にたどり着くことに重きが置かれています。
しかしその背景にある、ソ連という社会主義国家の暗部、またさらに遡ること、この事件に繋がり、孤児院の姿が、駆け足に描いているんですね。 でもこの二つの事象が絡み合って、さらにこの特殊な国家で出世して行こうという人間のしがらみはちゃんと画かれています。
主演のトム・ハーディは、先日観た「マッドマックス 怒りのデス・ロード」http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13179139.html とはうって変わって、社会主義国家の中で、したたかに、でもその中で必死に人間らしく生きようともがく男を演じていました。
それは彼の役が、孤児院で育った自らの経験を次の世代には味わわせたくないという信念を感じられたんです。 でも国家が変わるのはまだ遠い先、いやまだ変わっていないかもしれない、そんなことを感じた作品でしたね。
救いのない国家で、ラストにこういうエンディングは予想がつきませんでした。 あの国家で、一番最上の選択をしたレオとライーサだったと思いますし、二人の選択にちょっとウルッときました。

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孤児院にいたころのレオ

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共産党のエリートになったレオ

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そして彼女に一目ぼれする

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しかし彼女に嫌疑がかかる

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ここで多くの人間が処刑される

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