anttiorbの映画、映像の世界

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ピアニスト


ピアノ教師のエリカ(イザベル・ユペール)は、その日は少し帰りが遅かった。 母(アニー・ジラルド)は「お帰り、早かったね」と、まず初めに皮肉を言う。 言い方にむっとしたエリカは、すぐに母と言い合いになるのだった。
そして母に対して手を上げてしまう。 彼女は、父を亡くしてから、厳格な母(アニー・ジラルド)の支配から逃れられずにいた。 その日も洋服を買ってきたのに、母に破かれてしまう。 だからといって、家を出ていくことは無いエリカだった。
彼女のレッスンは、厳しかった。 無表情で、ただひたすら上を目指し、表現の重要性を説くやり方で、なかなかついてこれない生徒には容赦なかった。
ある日母と二人で、ある家に向かった。 エレベーターを乗ろうとすると、若い青年が走ってきたが、二人は構わずさっさとエレベーターを発進させた。 青年は階段を駆け上がって、3階に行くが、二人の尋ねる部屋と一緒だった。
この家の主の甥でワルター・クレメール(ブノワ・マジメル)という。 今夜はここで小さいコンサートをするのだった。 演奏をして、その後に立食パーティーを催すのだった。 エリかは演奏者だが、母はいろんな人に話しかけられて煩わしそうだった。
昔はよくこういう家庭が主催するクラシックの小さい宴があったが、今はポップスやロックが全盛で、こういう会を催す家が減ってきた。 ワルターはエリカにそう話しかけるが、エリカはぴしゃっと撥ねつける。 しかしエリカは何かワルターに感じたようだった。
ワルターは、技術系の学生だが、ピアノの腕も良かった。
彼女は仕事が終わるとある場所に行く。 それはレンタルビデオショップで、そこには奥に借りたDVDを見るスペースがある。 しかしそこを利用するのはエロビデオを見る輩だけだった。 彼女は平然とその個室に入っていくのであった。 周囲の目を気にもしない。
エリカがレッスンをしていると、ワルターが部屋に入ってきた。 無礼な態度に怒るエリカだが、彼は音楽院の大学院に入試したいというのだった。 そしてエリカのクラスに入りたいという。 それなら入試を受けなさいというエリカ。
ワルターは試験を受けに来たが、エリカ以外は全員彼の実力に驚嘆し、反対したのはエリカだけであった。 そしてワルターはどんどん彼女に近づいて 行く…

ただでは済まないハネケ作品、今回は主役にイザベル・ユペールを起用、彼女は後年の作品「愛、アムールhttp://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/8899188.html では、主人公の娘役で出演しています。 厳格な母のもとに育ち、ちょっと抑圧された暮らしから、彼女は何時のころからか、病的なものを身に着けてしまった女性を演じています。
相手役のブノワ・マジメルはあまり私は作品を観たことは無いのですが、「最後のマイ・ウェイhttp://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/10827770.html で、ポール・ルデルマンという、マネージャー役をしていたみたいですね。
エリカの性癖は、冒頭の記事以外にところどころ描かれていきますが、それがワルターという青年が近づいてきたとき爆発してしまいます。
設定では、ちょっと年上の女ですが、実際は親子くらいの年齢差なんで、よけい罪悪感を抱かせる作りになっています。 ハネケ作品ですから、あまりオブラートに包む様な表現はないので、あからさまに演じさせていますね。そしてやはり悲劇に向かっていきます。
唐突なラストですが、これもエリカのある意味復讐劇と取れますが、ワルターの気持ちもわかり、どうしようもない関係を感じますね。
まあ監督独特なタッチなので、惹かれる人は見てしまう一種の病み付きになる監督ですね。

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厳格なピアノ教師のエリカ

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近づいてくるワルター

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迷った挙句

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しかしエリカの本性がだんだん

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そして・・・

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