2015年作品、チアン・ショウチョン監督、永作博美主演。
父の膝の上でギターを聞いている。 少女は、この父が弾くギターの音色が好きだった。 ここはすぐ前が海の小さな小屋。 母が来た。 4歳の少女は母に抱きつきそのまま父の傍から離れて行った。
父が今くなって8年が過ぎ、借金があると岬は聞かされた。 しかし彼女は借金は返すというと、弁護士は驚いていた。 そして父の残したものはただ一つだった。
石川県能登半島の中でも最も北側にある奥能登。 東京から故郷である奥能登に戻ってきた吉田岬は、日本海に面した海辺の舟小屋に着いた。 舟小屋とは呼べないほどの廃屋だった。 すぐ迎えの民宿に、素泊まりさせてほしいというが、出てきた若い女・山崎絵里子(佐々木希)に冷たく追い返される。 彼女はその廃屋で一夜を過ごす。 そこには埃をかぶったギターがあった。 懐かしい父のギターだった。
その民宿は今はやっていなかった。そこには有沙(桜田ひより)と翔太(保田盛凱清)という小さな子を二人抱えたシングルマザー、山崎絵里子が住んでいた。
しかし女で一人では、こんな田舎では二人を養えない。 だから彼女は金沢に出て、キャバ嬢をやっている。 その間、子供たちは、カップラーメンやお菓子を食べながら母の帰りを待つ。 帰れない日も多かった。
岬は、舟小屋を改装し始める。 彼女は焙煎珈琲店をここで開く気だった。名前は“ヨダカ珈琲”、早速焙煎機が搬入されると、それを見ていた翔太は驚いて有沙を呼びに行った。 しかし絵里子は子供たちに、岬のところに近づくのを禁じるのだった。
そしてある日、有沙は岬の店に行き、お金を貸してほしいという。 そこで岬は、ここで働いたらバイト代を払う、しかしテストに合格したらと言う。
はたしてそのテストとは?…
チアン・ショウチョン監督は台湾の女性監督、初めて作品を観ました。
この作品、派手さはないんですが、結構泣いてしまう場面が多かったですね。
能登半島の港町。 冒頭の寂しげな映像。そして誰も来ないような海沿いの廃屋で、岬は焙煎珈琲店を開きます。 喫茶店じゃないんですね。 東京でおそらく彼女はそこそこお客が付いた同じ仕事をしていたんでしょう。
そして商売の才覚もあったんですね。 豆の仕入れルートも持っているようで、彼女の店は初めから安定しています。 通販で顧客がすぐに戻ってきているようです。
また絵里子はどうして民宿をやらずに金沢に行くのか? それは浅田美代子演じる祖母が入院してしまったからなんですね。
行方不明の父の借金を返し、廃屋を改装してこんなところでどうして岬は店を始めたのか? それがこの作品の大きなテーマでした。
そこで知り合った、絵里子、有沙、翔太の親子、始めは平行線の出会いが、交わるとき大きな感動を生み、そして再生が始まる。
地味な作品ですが、心染み入るいい作品でした。 美味しい珈琲が飲みたくなります。
舟小屋を改装する岬
いったい何ができるんだろう?
二人は店を手伝い始める
左が有沙の張ったラベル
そしてある事件から絵里子も働き始める
そして病院に絵里子の祖母を見舞いに行ったときに