anttiorbの映画、映像の世界

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ホタル

2001年作品、降旗康男監督、高倉健主演。

鹿児島県知覧。 カンパチの養殖を生業としている山岡(高倉健)は、肝臓を患い透析を続けている妻・知子(田中裕子)とふたり暮らし。 子供がいない彼らは、漁船“とも丸”を我が子のように大切にしている。 もう透析を始めて14年になる。
今は沖には出ない山岡、生簀をしている。 それを自分の体のせいだと知子は言うが、山岡はそんなことは無いと慰めるのだった。
そんな時、山崎(石橋蓮司)が密航者を手引きしている場面に遭遇した。 彼はそんなことを見逃すのは嫌だった。 しかしその日は天皇陛下崩御した日だった。
激動の昭和が終わり、平成の世が始まった。 藤枝(井川比佐志)は青森県の雪深いとことで、働いていた。 ある日、藤枝は孫の真実(水橋貴己)を連れて知覧を訪れた。 第二の故郷と言う藤枝は、真実にここを見せたかったのだった。
山岡と藤枝は共に特攻隊の生き残りだった。 そして藤枝と真実は、“知覧の母”と呼ばれていた富屋食堂の女主人・山本富子(奈良岡朋子)に会いに行く。 今食堂は富子の孫の大塚久子(小林綾子)が取り仕切っている。 もうそんなに時は流れていた。
藤枝は山岡に連絡を取って見るが、彼は不在だった。 しかしこれが二人が会える最後のチャンスだったのだが。
富子は蛍の話をして、昔を懐かしむ、いや悲しむのだった。
そんな山岡の元に青森に暮らす藤枝が雪山で自殺したとの報せが届いた。 それは2月24日のことだった。 遺族から連絡があったのは、もう桜が咲いている時節だった。 元特攻隊の自殺としては天皇陛下崩御の折良くないと思い、病死として身内だけで密葬したからだと説明を受けた山岡夫妻だった。
お墓に線香を上げに来た山岡たちに真実だけは祖父の気持ちを理解している感じだった。 どうして知覧を訪れたのか? そして敢えて山岡に会おうとしなかったのか? 祖父の顔は満足そうだった。知覧で見た特攻隊員の顔と同じだったと、真実は言うのだった。
旅の疲れが出たのか、知子は体調を崩した。 検査入院をした知子の看護に行く山岡だったが、彼は富子のところを訪ねるのだった。 その時ある物を見せられたのだった。 南の海に散った金山少尉、本名、キム・ソンジェ(小澤征悦の遺品だった。 そして彼は、知子の初恋の相手で、結婚を約束した男でもあった・・・

遺作の「あなたへ」でも夫婦役をやった二人、「あなたへ」では回想シーンのみの夫婦のシーンでしたが、ここでは海で生計を立てている夫婦なんですが、そこには過去の戦争の二人の境遇、因縁とでもいうことがあるんですね。
この後遺品を預けられたをあるところへ届けてほしいと懇願されます。 もちろん特攻隊の生き残りである山岡にとって、そのお願いは辛いものであり、でも知子のこと、富子の願いでもあるこのことを叶えようと決心する山岡でした。
この作品は「鉄道員〈ぽっぽや〉」のコンビなんですが、健さんと降旗監督は合っていたんでしょうね。 もし存命されていたら、もう1作このコンビの作品がつくられていたんでしょうから。
物語は昭和から平成に切り替わるときの物語ですが、21世紀初頭にこれが作られたのは何かそういう思いがあるんでしょうかね。 過去の戦争に対する思いをちょっと詰まらせた健さんの情緒的な作品でした。

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もう沖へは出ない山岡

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まだ雪深い青森へ向かう二人

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山岡はあるお願いを知子にする

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彼女を連れ金山の家に行くのだった

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