京都・洛北医科大学の学生・荻野愛作:二十六歳(古尾谷雅人)は河原で本を読んでいた。 交通事故が橋で起こり、「医者はいないか」 と叫んでいる。 医者の卵の彼は白衣を見られないようにして、そこからこっそり逃げていく。 同じようにこそこそそこから離れてきたのは西村英二(小倉一郎)だった。 同じように教科書を隠して脱出してきた。
医学生の最終学年は臨床実習(ポリ・クリ)にあてられ、六~七人に分けられたグループが、内科、外科、小児科など、十七の科を一周間ごとのローテーションで廻っていく。 愛作たちのグループもその一つだ。
グループには、荻野愛作、医者になること に不安を抱く木村みどり:二十四歳(伊藤蘭)、プレイボーイの河本一郎:二十五歳(光田昌弘)、野球の大好きなワンちゃんこと王龍明:二十四歳(西塚肇)、脱サラの加藤建ニ:三十一歳(柄本明)、ガリ勉の大島修:二十三歳(狩場勉)などがいる。 荻野は定期試験に出た 「避妊法」 は完璧に答えたくせに恋人の順子(真喜志きさ子)妊娠させてしまった。 激しく動揺する愛作だった。
ポリ・クリは、新しい発見と失敗の連続。 みどりは皮膚科でインキンの若者に逃げられ、大島はガンの診断が当って、喜びの声をあげてしまったり、河本は分娩介助で人形の赤ん坊の片腕をひっこぬいてしまったりだ。
愛作の住む学生寮では、連日寮会議が開かれたいた。 新入生の野口(宮崎雄吾)、左翼運動家の南田(内藤剛志)、寮長の渡辺(金子吉延)らが寮運営から現代医学の問題点をディスカッションしているのだ。 新入生の野口はやがて南田とともに運動の渦中に入っていく。
荻野は、まだ自分の行く先がわからないでいる、それ以上に医者になれるかどうかも自信が無いのだった。 そんな医学生たちの卒業間近のモラトリアムだった…
キャンディーズ時代から、コントなので、結構演技は手馴れた物と思っていましたが、意外に固い雰囲気を感じました。
劇中テレビから「微笑み返し」が聞こえてくるなど、ちょっとにやりとす るシーンもあります。
またこの作品は、多くの若手監督を輩出したATGの配給です。 これは第3期と呼ばれ、特に新進監督期の初期の代表作として、必ず話題になる作品です。
私は意外に今回初見でした。 伊藤蘭のファンなんでもっと早く観ても良かったのですが、物語としては、そんなに波の無い作品なので、ついついいつか観ようと思って今まで来てしまいました。
時代背景や、俳優たちの若いころ、そして若き監督のタッチなどはよく見てとれる作品でした。
モラトリアムの愛作
紅一点の木村みどり
各課で研修が始まる
内科医でも研修(手塚先生)
留年を繰り返す加藤