anttiorbの映画、映像の世界

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旅人は夢を奏でる

2012年作品、ミカ・カウリスマキ監督、ヴェサ=マッティ・ロイリ、サムリ・エーデルマン出演。

レオ(ヴェサ・マッティ・ロイリ)はフィンランドの空港に降り立った。 普段飛行機に乗ることはないらしい、前を歩いていた御婦人たちに声をかけ、入国手続きをお願いするレオ。 彼が向かった先はクラシックのコンサート会場だった。 何とも似つかわしくない場所だった。
ピアニストとして成功を収めたティモ(サムリ・エデルマン)が深夜にマンションへ帰ると、ドアの前に1人の男が眠り込んでいた。 見知らぬ男がいることで、不審者と思ったその時、その男は自分は父だと言った。
彼はティモが3歳の時に別れた父親レオと名乗り、今夜ここに泊まるというのだった。 行方不明の父が突然現れ、怪訝そうなティモだが、彼は夜になるとピアノの練習をするのだった。 なぜか不在の娘の部屋で寝るよう言い、彼が練習を始めると、レオは大きないびきをかき始める。 練習にならずその日は練習をあきらめてしまうティモだった。
次の日朝早く、ティモはベランダにあったビニールプールの空気を抜き、それを箱に詰めどこかへ送っていた。 その間にティモのマンションに不動産屋と客がやってきた。 二人はティモが不在と思ってきたらしいのだ。 そしてここを売りに出しているらしく、一緒に連れてきたご婦人は買い手らしかった。 そこにレオが起きてきて、二人を追い払ってしまった。
レオはティモに、ウルフランドに一緒に行ってほしいと頼む。 レオの鞄には偽造パスポートが入っていた。 レオはスーパーに行き、軽く強盗のような万引きをし、レンタカー屋からちゃっかりと車を盗んできた。
そしてティモに運転をさせ、ウルフランドに向かわせるのだった。
ティモは実は妻子が出て行ってしまっているのだった。 そのためこのマンションを売ろうとしていて、プールは妻の実家に送ったのだ。
すべてマイペースでお構いなしにふるまう父・レオ。 そんな二人の旅が始まるのだった・・・

3歳の時に家族を捨て行方不明の父が突然現れたら、どう感じるでしょうね?  感情的になり、殴るか詰るか、私ならそんなとこでしょう。 ティモは不機嫌にこそなるのですが、そんな父の頼みを最大限聞いてやるのです。
それは父への思慕なのか、家族と別れて暮らしている寂しさなのか?
レオの鞄には偽造パスポートと、そして息子・ティモの栄誉を称えた新聞が入っていました。
私なら 「この親父集りに来たのか?」 なんて思うでしょうね(器が狭い)
ウルフランドに行きたいというのは実は口実なんですね。 まず向かった先は、いないはずの姉のところなんです。 でもここも本当の行先ではありませんでした。
父が子供に対する愛情というのは、母の無償の愛とは違うと思います。 盲目的に子供を愛する母親に対して、男親はどうしてもかっこつけたり、照れ隠しをしますよね。 そんな気持ちはよくわかります。
でっぷり太ったレオ役のヴェサ・マッティ・ロイリはそんなちょっと不潔でよくわからない怪しいおやじがぴったりでした。 また、生真面目でちょっと気難しい演奏家にサムリ・エデルマンもぴったりですね。
変な親子の珍道中の様相を見せていますが、実はこの親父、只者ではないんですね。 というか今までほおっておいた子供たち、そして息子の家族、そして母親、借りをいっぺんに返そうとしているんですね。 ネタバレなのでここまでにしますが、私はこんな父・レオはちょっと汚い季節外れのサンタクロースに思えました。
監督のミカ・カウリスマキは 「ル・アーヴルの靴みがき」 
http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/7939536.html を撮ったアキ・カウリスマキの実兄なんです。 コミカルさが兄の方があるようですが、根底に流れている人間描写は何か似ているように思えました。
フィンランドの美しい風景と素朴な人間像、父子愛、そんな面がさりげなく描かれていて、思い出すとちょっとうるっとくる作品でした。(G)
 
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ティモのコンサートに行くレオ
 
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盗んだ車で出かける久しぶりに会う父と子
 
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途中泊まったモーテルで歌を披露するレオ、結構イケる声
 
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レオはティモを妻の実家に行かせる

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しかし本当に行きたいところは…

 
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