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大統領の執事の涙

2013年作品、リー・ダニエルズ監督、フォレスト・ウィテカー主演。

1926年、まだ幼いセシル・ゲインズは、両親と共に綿花畑で奴隷として働いていた。 この時代は黒人差別が平然と行われていた時代、白人の命令は絶対で、逆らえば殺されても何ら問題にされなかった時代でもあった。
その日、母(マライヤ・キャリー)は、農場の横暴な息子・トーマス・ウェストフォール(アレックス・ペティファー)に納屋に連れて行かれ、暴行を受けた。 何が起こっているのかわからないセシルは、母を追いかけて行こうとしたが、父に止められた。 納屋から出てきたトーマスに父が、話しかけたとき、トーマスはいきなり父を打ち殺した。 トーマスの母・アナベス・ウェストフォール(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)はセシルを不憫に思い、セシルを家に入れ、ハウス・ニガー(家働きの奴隷)として働かせることにした。
母は父が殺されたときに気がふれてしまい、セシルの言葉に何も反応しなくなっていた。 成長したセシルは、ここにいたら自分もいつかトーマスに殺されると思い、一人農場を出た。 しかし仕事も無く住むところも無い。 そんな時、あるホテルのガラスを割り、そこにあったケーキを食べてしまった。 すぐに、そこのホテルの執事のメイナード(クラレンス・ウィリアムズ三世)に見つかった。
観念したセシルは、ダメもとでここで働かせてほしいとメナードに言う。 そして彼は「自分はハウス・ニガーをやっていた」というのだった。 その瞬間メナードはセシルの頬を打ち、「ハウス・ニガーと言ってはいけない」ときつく言うのだった。 しかし彼はメナードにここで働くことを許された。
その日からセシルはメナードに徹底的に仕込まれた。 そして数年がたったある日、メナードに言われるのだった。 「ホワイトハウスから執事の話が来た。私はもう歳だし、お前を推薦しておいた」
彼は大統領の執事になっていったのだった…
 
物語はオバマ大統領就任まで描かれています。 ということはもう彼は90歳近いんですね。 物語の根底は、やはり人種差別が大きく描かれています。 しかしセシルは、そんな白人社会の中に溶け込むことを自分の人生に当てています。
冒頭の父の殺されるシーンがすべてを物語っていますが、途中KKK(クー・クラックス・クラン)のシーンや、食堂のシーンなど、結構黒人としての彼らの困難な道のりが作りこまれていました。
差別を描いた作品は、この前鑑賞した「42 ~世界を変えた男~」http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/10546087.html でもリアルに描かれていましたが、この作品では、長男のルイス(デヴィッド・オイェロウォ)が、断固差別と闘うという設定になっています。
主演のフォレスト・ウィテカーは善人役をやらせたら、やっぱり強いですね。 もう顔立ちから憎めない感じなんですが、却ってこの作品では白人、その中でもトップの国の顔の大統領という特殊な世界と、大きな人種差別の狭間で、さらに親と子の隔絶も相まって苦しさいっぱいの姿が痛々しかったです。
彼の幸せはなんなのか?小さいころ両親を失い、せっかくできた家族ともゆっくりできない。 そんなセシルの束の間の幸せを考えると、私は心が痛い感じがしました。 ただ救いは、愛する妻・グロリア(オプラ・ウィンフリー)の信頼でしたね。 彼女が長男に父の事を言い放つシーンは、ちょっと感動しました。
日本人ではなかなか全部理解しづらい作品かもしれませんが、オバマ大統領誕生は本当に大きな歴史の分岐点だったことがちょっぴり理解できたような作品でした。

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彼は大統領のもとで働くことになった

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仕事は確かだった

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歴代大統領に仕える



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妻と


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しかし長男とは考えが違ってしまう


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