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大病人

1993年作品、伊丹十三監督、三國連太郎宮本信子津川雅彦出演。
 
がんを宣告され残りわずかな男(三國連太郎)それを看病している女(高瀬春奈)は実は自分も癌なのと告白をする。  若い自分の方が進行が速く先に死ぬだろうという。 彼女は「ラスト・ダンスは私に」を歌いながら一緒のベッドで添い寝をする。
「カット!」 彼は監督兼主演の向井武平という役者だった。 女は実の愛人でもある女優・神島彩。 そのままホテルに行く二人。 情事のあと彼は、ホテルのトイレで急に吐いてしまう。 驚いたことに赤い血が混じっているようだった。
家に帰ると妻の万里子(宮本信子)が荷物をまとめていた。 二人は離婚をするので、万里子が出て行くところだった。 しかし武平が血を吐いたというと、万里子は一応病院に連れて行くのだった。
万里子の大学時代の友人でもある医師の緒方洪一郎(津川雅彦)が、担当医となり、色々検査をすることとなる。 武平はまだまだギラついているので、看護婦(木内みどり)にもちょっかいを出すほどだったが、数日にわたって徹底的な検査結果は癌だった。 結構進行している胃癌だった。 しかしこの病院は患者に告知はしない主義だった。
すぐさま万里子に伝え今後のことを相談する緒方だったが、ここから万里子は今後の予定が狂ってしまった。 離婚して一人身になるはずだったが、彼女は武平の看病に徹する決心をするのだった。 
彼の寿命は約1年。 ガンと知らずに手術を受けるよう言われる武平。 胃を半分取った武平はもう治ったものと思い相変わらずの不摂生をしながらの生活をしていた。 そしてまた倒れてしまった。 今度はさすがに彼も応えた。 そして自分はもしかすると・・と疑い始めるのだった・・・・
 
このころの病院はこういう感じだったんでしょうね。 今はほとんどの病院が本人に告知をするようになっているようです。 それは若くても高齢でも、差はないようですね。
知らないで、亡くなっていければ幸せかもしれませんが、通常癌は痛みを伴いますので、途中で普通は気付きます。 武平も自分では始め半信半疑でしたが、入院仲間に自分は癌だと悟っている者がいて、その患者に見せられた、寝たきりの明日をも死ぬ末期患者の姿を見せられ、告知しないやり方にも大きな疑問を抱くところは、結構な問題提起の場面でした。
一番印象に残っているのが最後のシーンですね。 大往生を迎える時の緒方医師のセリフです。 「もし彼が自分のところに来なければ、今頃元気だったかもしれない」 この一言は現代の癌治療の痛烈な皮肉に聞こえたんですね。 
切る、抗がん剤放射線と癌になったら、これでもかと体を痛め続ける現代医療に、伊丹監督は大きな疑問を持っていたのではないでしょうか? そんな作品でした。
本来はコメディ要素のある作品ですが、そんなところばっかり気になってしまいました。


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夫が癌に、彼女の人生が変わってしまう

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主治医に自分の病気を聞くが

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明るく過ごし始める武平

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最後の瞬間

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