昔々の物語、竹を取り様々な用途に使い暮らしていた翁(地井武夫)とその妻の嫗(宮本信子)がいた。 ある日翁がいつものように竹を取りに行くと、その中の一本が光っているのに気がついた。 恐る恐る近寄ってみると、手前にタケノコが顔を出していた。
次の瞬間、そのタケノコが急に伸び始め、そして先端が開き、中には小さなお姫様が入っていた。 姫はすやすやと寝ていたが、翁は 「これは天がつかわした姫」 と思い、早速家に抱いて帰った。
嫗が抱くと小さい姫は瞬く間の赤ん坊になった。 嫗は早速その赤ん坊を抱いて、貰い乳をしに、一番いい竹の品物を持っていこうとすると、なんと嫗のおっぱいから乳が出始めた。 何とも不思議な姫の誕生だった。
赤ん坊は普通の子供と違い成長が早かった。 寝返りを打ったと思ったら、転がりはじめ、そうこうしているうちにハイハイをし始め、なんと立ってしまった。 そんな姫に周りの子供たちは 「たけのこ」 という名前を付け呼び始めた。
“たけのこ” は活発な女の子で、子供たちの行くところどこでもついてきた。 しかし危ないこともしてしまう。 そんな時真っ先に助けてくれるのが、子供たちの中で一番年長の捨丸(高良健吾)だった。
彼女はどんどん大きくなった。 しかし翁は竹藪の中で、別の物も見つけたのだった。 同じように光る竹を切ってみると、そこには金が入っていた。 また別の竹からは美しい絹が出てきた。 そして翁は思い始めるのだった。 このお金は、姫を都で何不自由ない暮らしをさせよということなのだと。
そしてたびたび翁は都に行き、その準備を始めるのだった。 そんなことは露とも知らない “たけのこ” だった・・・
SF調な物は見たような記憶はありますが、やはりこれは語りであり、幼いころの絵本のイメージですよね。 そのあたりを意識したような絵作り、それはしっかりと調和していました。
また、各声優が名優揃いでした。 声優さんの本職の方たちをあまり起用せず、役者、タレントを各役どころに当てていました。 特に姫に言い寄る5人の男たちに、個性豊かな方たちが配置されていましたね。
観ているうちに、なぜスタジオジブリとしてこの作品を作るのか? というところが大変気になって観ていましたね。 日本人としての責任感なのか、それならどこにジブリらしさを出すのか? 私は月に帰る直前の捨丸とのシーンが一番ジブリらしく思えましたが、皆さんはいかがでしょうか?
話としては大なり小なり日本人なら知っていると思いますが、誠実に、そして暖かく作られた作品でしたね。 かぐや姫役の声を担当した朝倉あきさんはいい声でした。 絵の表情と合っていましたし、苦悩するシーンの声なんかがよかったです。
137分ですので、お子様はちょっとしんどいですが、これを見た大人が、子供に竹取物語を語ってあげれるつくりのような気がします。
「竹が光っておる!」翁は不思議な竹を見つける
たけのこの中には小さな姫が
嫗の胸からおっぱいが出る
そしてどんどん育つ“たけのこ”
初恋の相手?捨丸