anttiorbの映画、映像の世界

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さよならの朝に約束の花をかざろう

2018年作品、岡田麿里監督、声の出演:石見舞菜香 入野自由 茅野愛衣 梶裕貴

縦糸は流れ行く月日、横糸は人のなりわい。 長い時を生きるわたしたちは、そうでない人にとってはおとぎ話のようなもの。
イオルフは10代なかばで外見の成長が止まり、数百年の長い命を持つ一族。 人里を離れ、「ヒビオル」 という織物に日々の想いや出来事を織り込み、静かに暮らしていた。
イオルフの少女、マキア(石見舞菜香)は物静かで、活発なレイリア (茅野愛衣)とは対称的で、レイリアは、高い絶壁からも恐れず海に飛び込むことが出来る。 二人の少女は、クリム(梶裕貴)という少年とも仲良く、いつも三人で戯れていた。
レイリアとクリムには家族がいるが、マキアはひとりぼっちで、長老のラシーヌは、泣いているマキアに話しかける。 「ここに居る限りお前 は一人ではない、『ヒビオル』がいる。 だが、外の世界で出会いに触れたなら誰も愛してはいけない。 愛すれば本当の一人になってしまうから。」 と。
ある日、マキアは夜中に海辺を歩いて行くクリムの姿をみかける。 彼を追って家を出たマキアは、クリムとレイリアの仲睦まじい様子をみて激しく動揺してしまう。
その時、レナトと呼ばれる古の獣が飛来し、メザーテの戦士たちが、イオルフに攻め入ってきた。 マキアは長老を呼びに走り、長老はヒビオルを守るため、部屋を封鎖する。 マキアはそこに閉じ込められてしまうのだった。 メザーテはレイリアや他の女たちを略奪していってしまう。
閉じ込められたマキアの下に、レナトが飛び込んできた。 マキアはレナトにからんだヒビオルに宙吊りになるかたちで、遠くの森へと運ばれてしまう。
マキアは森を彷徨ったあげく、断崖絶壁から身を投げようとするが、赤ん坊の泣き声がして、われに返る。 テントの中で、赤ん坊が一人泣いていた。 母親は賊にやられて死亡していたが、赤ん坊をしっかり抱きしめていた。 赤ん坊の手にマキアの指を近づけると、赤ん坊はその指をしっかり握りしめる。
テントの隅に、バロウ(平田広明)という男がいて、驚くマキアに彼はヒビオルを手にいれるため各地を回っている商人で、たまたまここにやってきた言い、赤ん坊をどうするのかと尋ねるのだった。
「私のヒビオルです」 とマキアは応えると、彼は 「一人ぼっちが一人ぼっちと出逢ったか」 と呟くのだった。
マキアは赤ん坊にヤギの乳を飲ませるため、ヘルム農場に忍び込みむが、すぐに農場主のミド(佐藤利奈)に見つかってしまう。 しかし、女手一つで、ラングとデオルという二人の息子を育てていた彼女は、マキアをここに住まわせることにするのだった。
村の雑貨店の店主ダレルは一目見るなり、マキアをイオルフだと見抜くが、イオルフの布の価値を知っている彼は、見て見ぬふりをしてくれ、仕事もくれるのだった。
この地でマキアは、子育てをしてミドの家に厄介になっていく、そして赤ん坊にエリアルという名をつけ、幼い母となっていくのだった…

オリジナル脚本による長編作品、独特な世界観を綺麗でかわいく描いていた感動作品でした。
監督は岡田磨里、多くのアニメ作品の脚本を描いているだけでなく、実写でも 「暗黒女子」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14851279.html の脚本を手がけていて、今作は彼女の初監督作品ですね。
そしてマキア役で石見舞菜香、私ははじめて声を聞く声優さんのようです。
茅野愛衣、彼女もメンマ役がもう(^^)

物語はイオルフという長命な一族を中心とした物語。 彼らは文字を持たず、布を編むことで意思を伝えるという手法を取っています。 “ビビオル” という織物なんですが、この言葉は、ただの布ではなく、“大切なもの” という意味でも使われていきます。
しかしそんな平和で穏やかな一族にもとうとう終末が訪れて行きます。 空を飛ぶ大きな生物レナトに乗ってやってきたメゼーテという一族が侵攻、そして女をさらって行くんですね。
普通の寿命の人種にとっては、歳を取らないイオルフのことを化け物視しているところがあります。 しかしメゼーテは侵略をするのとはちょっと違うんですね。 ある目的のために女をさらって行くんですね。
そのレナトに引っ掛かってしまったマキアは、そのレナトが死んでしまい不時着をしたところで運命的な赤ん坊と出会ってしまいます。 そして長い人生のある一部分が始まっていくんですね。
長寿の作品は、「アデライン、100年目の恋」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13570796.html でも観たことがありますが、他の人より何倍も生きることの辛さ、一番は人を愛することによって、必ず来る別れが何よりも辛いですね。 形は違えど、ペットを飼う事になんか似ている気がしますが。
たった独りぼっちになった時、指を握ってくれた赤ん坊、このままにしておけば母と一緒に人生が終わってしまう。 彼女は自分の子同然で育てようとしますが、それはいつか来る彼との別れ、、どこかで外見が逆転していくという運命をだんだん受け入れていくことになります。
物語は、戦争、滅び、そして継承と進んでいきますが、なかなかの感動作、そしてファンタジーになっています。さすが「心が叫びたがってるんだ。」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13481938.html の脚本も書いた岡田磨里でしたね。 日本アニメの秀作でした。