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シュガーマン 奇跡に愛された男

2012年作品、マリク・ベンジェルール監督
 
南アフリカを車で走る男がいる、彼は必死に探している男がいた。 
彼はスティーブン・“シュガー”・セガーマン、通称シュガーマン。  シュガーマンとは“麻薬を売る男” という一種のスラングだ。 でも彼は誇らしげな感じだった。 
それはあるアーティストの歌っている曲の名前でもあったのだ。 そのアーティストとは?
1968年、ミシガン州デトロイトの場末のバーで、ロドリゲスという男が歌っていた。 その姿が大物プロデューサーの目にとまり、満を持してデビューアルバム 『Cold Fact』 をリリースする。  しかし将来を渇望されるも、2枚目のアルバムも含めて商業的には大失敗に終わる。 
普通なら、これでこのアーティストもアルバムも、もう消滅してしまうものである。  しかしよくわからない経緯で、このアルバムが南アフリカに流れ着いたのである。 
それは、たまたまこのアルバムが持ち込まれ、それを録音したテープがひろまっていったのではないかと言われている。 
当時の南アフリカは、長いアパルトヘイト政策下にあったのだが、国民の機運の中に反アパルトヘイト運動が芽生えつつあった。  ロドリゲスの音楽は体制を変えようとする若者たちの胸に突き刺さり、革命のシンボルとなっていった。
しかしロドリゲスはどうなったのか? ある日彼は、数年後もう一度音楽活動をしないかという誘いを受け、ステージに立った。 しかし誰からも相手にされず失意のうちにライブは終わり、ステージで自殺したという伝説が伝えられていた。
ここ南アフリカでは20年に渡って幅広い世代に支持され続け、ローリング・ストーンズボブ・ディランより有名なアルバムとなっている 『Cold Fact』。 
それではロドリゲスとはどういう人物なのか? セガーマンは、レコードの版権元を探すことにした。 そのためには南アフリカのレコード販売店、輸入元をあたることだ。 そして彼は活動を開始するのだった…
 
この作品も画期的なドキュメンタリー作品でした。  曲調はボブ・ディランに似ている感じですが、耳馴染がいい曲調の中に、強烈な風刺や、心の底に何か重石を置くような歌詞が響いてきます。 
なぜアメリカでは売れなかったのか? プロモーション不足なのか、時代に合ってなかったのか、売れる売れないは実力以外の運が大きい世界ですから。 それは後半部分で、誰もが口にします。 
検索していただければこの2枚のアルバムはすぐに聴くことができます。 作品中に数曲流れてきますが、対訳があるといっそう響いてきますね。 ただ流して聞くのも悪くはないです。
「奇跡に愛された男」 という日本の副題がありますが、これは後半部分のことを言っているんですね。 純粋に訳すと “シュガーマンを探して” ですが、彼をたどっていくところが大変面白く、私は最後は感動しちゃいました。 
ロドリゲスとはどういう男だったのか? いや男なのか? その姿にだれしも感銘を受けるのではないでしょうか。
自分の運命に決して愚痴を言わないそんな男 “シュガーマン” にあっぱれでしたね。(G)

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通称シュガーマン、彼を探したい。そんな思いに取りつかれた男

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その為にはアフリカに持ち込まれた経緯を知ることである

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そしてロドリゲスを知る男、レコードレーベル会社の元オーナーだった

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彼は2枚のアルバムを出していた

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彼は実在した、そして…

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