anttiorbの映画、映像の世界

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最愛の大地

2011年作品、アンジェリーナ・ジョリー監督、ザーナ・マリアノビッチ、ゴラン・コスティック出演。

姉のまだ小さい子供の面倒を見ているアイラ(ザーナ・マリアノビッチ)、姉のレイラ(ヴァネッサ・グロッジョ)はせかすようにアイラを着替えさせ出かけさせた。 ウキウキしながら出かけていくアイラ。
バーではバンドが歌っている、そこに来たのは恋人のダニエル(ゴラン・コスティッチ) 、二人はダンスを始めたその時、大きな爆発が起き、店は煙に包まれ、二人は吹っ飛ばされた。
二人は傷を負ったが、命は無事だった。 しかし多くの犠牲者が出た。 ダニエルはけが人を介抱し、二人のデートは終わった。
4か月後、アイラとレイラの住むアパートに軍が侵入した。 男は連れ去られ、指名された女もつれていかれた。 その中にアイラもいた。 着いたところはセビリア軍の駐留地だった。
「この中で料理ができる者はいるか?」 そう言った時、私は医者です、私は裁縫ができます、そういった女たちがいた。 次の瞬間、裁縫ができるといった女はレイプされてしまった。 凍りつく女性たち。 アイラも指名され危機一髪の時、現れたのはダニエルだった。 彼は軍人だったのだ。
何気ないそぶりで女たちをそれぞれの役目を与え家事をさせるのだった。 アイラはムスリム、ダニエルはセビリア人だった。 あの爆発は長い長いボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の始まりの合図になってしまい、二人は敵と味方に別れてしまったのだった・・・

最後のテロップに出てきますが、第2次大戦以後、最大の戦禍に包まれたこの内戦を知ったのは、ワールドカップに日本が初めて出た時でした。
日本と同じグループリーグに入ったクロアチア、名古屋の監督だったストイコビッチの母国・ユーゴスラビア、元は大きなユーゴ連邦の国だったので、昔のチームは最強だったんだろうなという感覚でした。
しかし日本の対戦相手の特集が組まれ、クロアチアの現状がだんだんわかってくると、何と凄まじい戦いだったことが少しずつ分かり始めました。
この紛争を取り上げた作品はあまり見たことが無く、今回は結構ショッキングであり、すごい作品に感じました。 2011年製作で、なぜ今公開なのかはわかりませんが、戦争というのは、内戦であれ、他国との戦いであれ、あまりにも心が痛いものですね。 ましてや、仮にも同じ国だった同朋が、民族の違い、宗教の違い、過去の歴史的な傷、それらが複雑に入り混じった計り知れない深く暗い戦争ですね。
そんな複雑な国は、社会主義という理念と、チトーという一人のカリスマが必死にまとめ上げていたんだなとも思いました。 彼がどうという気はありませんが、彼の死後やはり10年という歳月が、民族独立の方向がだんだん形成されていったのはもう抗えなかったんでしょう。
作品は悲しい内戦を背景にアイラとダニエルの恋を描いていますが、初長編作品を撮りきったアンジェリーナの力量が出ている作品だと思います。
辛いシーンが多いですが、作品としては良くできていると思います。

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幸せだった二人だが

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ダニエルの父ネボイシャ将軍、セビリア軍の指揮官

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囚われ側のアイラ

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彼女は画家だった

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戦局は一進一退だった

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