警察と消防がやって来た。 ドアはびっしりテープで留められている。 ようやくほかの扉が空き、中には女性の遺体があった。 脇には花が飾られていた。 警察官はハンカチで鼻を押さえながら窓を全開にした。
ふたりはアンヌの愛弟子のピアニスト、アレクサンドル(アレクサンドル・タロー)の演奏会へ赴き、終了後楽屋を訪ね声をかけ、満ちたりた一夜を過ごした。 でもさすがに人ごみでちょっと疲れたようだった。
翌日、いつものように朝食を摂っている最中、アンヌの様子が変になった。 突然何の反応もしなくなったのだ。
初めはふざけているのかと思ったジョルジュだったが、濡れタオルで顔を拭いてみたが、それでも反応がない。 着替えようと部屋を出たら出しっぱなしの水が止まった。妻は一応元に戻っていたが、その時の記憶はない。 夫がふざけているのかと疑っているが、濡れタオルを見せられ、ジョルジュが水を出した記憶がないことから、何かの病気ということがわかった。
しかしアンヌは病院が大嫌いだった。 それでも医者の見立ては手術ということだった。 頸動脈が詰まっているということだ。
そしてアンヌは2度と病院に生かせないでほしいとジョルジュに約束させるのだった。ジョルジュはアンヌに約束し、基本アンヌの介護を彼がやることになった。 しかしこれは二人をだんだん苦しめて行くことになるのだった…
観るのが辛い作品ですね。 しかし何か見ておかなくてはと思える作品でもありました。
手術が失敗したことから、右手が動かなくなった彼女は、もうピアノが弾けなくなり、その時点で彼女はもう死んだ気分だったことでしょう。 満足に動けない病人の姿は、私にも1年前のことが思い出され、たしかこんな感じだったなと振り返りながら見ていました。
無理してベッドから起きようとして悪化させ、それからどんどん悪くなるアンヌ。 決して若くないジョルジュにとって、体も辛いんですよね。 必死に気持ちを振り絞って介護をする姿は痛々しいとともに、憐みさえ感じてしまいますが、そんな姿に自分の姿をだぶらせてみてしまいました。
日本の病院も、大手術でも術後1週間足らずで退院させてしまいます。 医学の進歩もありますが、半分動けない者の世話は近しい人が大きな負担を強いられるのです。 決してジョルジュの最期の選択は非難できません。
これ以上妻の姿を見ていられない辛い選択だったと思います。 無音のエンドロールが静寂の中流れて行くのも象徴的な作品でした。
突然なんの反応もし亡くなった妻
ふざけているようではない
妻はピアニストだった
手術は失敗してしまった
娘が来たときには妻は悪化してきていた
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